睡眠と運動との関係
「睡眠と運動にはどんな関係があるの?」 と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
習慣的に運動をしている人ほど寝付きが良くなり、深い睡眠が得られることが分かっています。
睡眠と運動との関係
定期的に運動を行うことが習慣として身についている人は、一般的に寝つきが良くなり、深い眠りを得やすいとされています。ただし、運動を継続することが重要であり、1回だけの運動では効果が限定されます。特に高齢者は、浅い睡眠になりがちなため、定期的な運動が睡眠の質を向上させる効果が大きいと考えられています。睡眠の質に悩んでいる方は、定期的な運動を習慣化することで改善が期待できます。
日本人の睡眠時間
日本人の睡眠時間は他の国の人々と比べて短いといわれています。
以下の図から、日本人の睡眠時間の短さが分かります。
転載:平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~
国際的に見ても日本人の睡眠時間は短いからこそ、良質な睡眠をとることが重要です。
良質な睡眠をとるには?
良質な睡眠を得るには、運動の強度や行う時間帯に気を配る必要があります。
就寝3時間前に運動をする
人間は起きている間は脳をフルに活用していますが、就寝時には疲れた脳が過熱しないように自ら体温を下げます。通常、夜には体温がわずかに下がりますが、睡眠中にはさらに下がります。
この生理学的なメカニズムを利用し、運動によって一時的に脳の温度を上げ、就寝時の体温の低下を促進することで眠りにつきやすくなります。ただし、激しい運動をすると逆に睡眠が妨げられる可能性があるため、負荷が少なく、長時間続けられる早足の散歩やジョギングなどが適しています。
また、就寝直前に運動を行うと体が興奮してしまい、眠れなくなることがあるので、運動は原則として就寝3時間前までに行うべきです。
有酸素運動を習慣的に行う
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行うことは、睡眠の質を向上させるのに役立ちます。
さらに、有酸素運動には脂肪の燃焼作用があり、肥満が原因とされる睡眠時無呼吸症候群の予防や改善にも効果的です。睡眠時無呼吸症候群は、深い睡眠が得られず睡眠の質が低下する可能性があります。また、長時間の低酸素状態や日中の眠気によるストレスが、生活習慣病の発症リスクを高めることも知られています。
いびきが指摘されたり、夜間に目が覚めたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので、注意が必要です。
無理な運動は控える
無理な運動は睡眠を妨げる可能性があるため、注意が必要です。
特に普段運動をしていない人が急に運動をすると、筋肉痛や関節の痛み、そして自律神経の興奮などが夜まで続き、良い睡眠を得にくくなることがあります。
自律神経は、活動時には交感神経が働き、リラックス時には副交感神経が働きます。日中は交感神経が、夜間は副交感神経が優位になるのが一般的ですが、自分の体力以上の運動をすると心身にストレスがかかり、交感神経が優位な状態が続いてしまうことがあります。
この状態が夜間も続くと、良い睡眠が得られず睡眠の質が低下します。
無理をせず、自分ができる範囲での運動を心掛けることが重要です。
睡眠不足がもたらす悪影響
睡眠不足は身体に様々な悪影響を及ばします。
- 集中力の低下
- 肥満や生活習慣病のリスク増加
- うつ病のリスク増加
- 免疫機能の低下
習慣的に運動を続けることで、寝つきが良くなり、深い睡眠を得ることができます。
良質な睡眠を確保するためには、就寝の3時間前に運動をすることや、定期的に有酸素運動を行うこと、無理な運動は避けることが重要です。
睡眠不足が続くと、集中力が低下したり、免疫機能が低下して風邪を引きやすくなったりするリスクが高まります。
さらに、肥満や生活習慣病、うつ病などのリスクも増加します。
適度な運動を継続し、良質な睡眠をとることが健康維持にとって非常に重要です。