共催学術セミナー5

当院におけるGDPの使用方法及び必要性について

奥田 泰三
医療法人 澄心会 岐阜/名古屋ハートセンター 臨床工学技術部門

 人工心肺管理において,灌流量の決定は最も基本的で重要な項目とされていた.2006 年にRanucciらが体表面積を基準とするのではなく,酸素運搬量(DO2)と二酸化炭素産生量(VCO2)から得られたデータを基に灌流量を決定することで,好気性代謝を維持できる可能性があることを報告した.2011年にde Somer らは,さらに発展させたGDPという新しい指標を提唱した.LivaNova社から発売されている自動記録システムであるCONNECTに含まれる目標指向型管理(Goal Directed Perfusion:GDP)である.また,Ranucciらは,GDPのパラメーターであるDO2iを270ml/min/m2以上にて維持することにより,急性腎傷害(Acute Kidney Injury:AKI)の発症率を抑制できると報告した.さらに,Justisonらは,DO2iが270ml/min/m2以下であってもDO2i/VCO2iが5以上の比率を維持できた場合,AKIの発症率を抑制すると報告している.国内でも,DO2を指標としたAKIの発症率の抑制や高乳酸血症の予防等の報告,DO2を関連付けた研究等も増えている.当院もCONNECTを導入しており,AKIの発症の抑制や高乳酸血症などの予防に加え,新たな指標として活用している.また,施設ごとに人工心肺中の血液ガス,血行動態,回路内圧などから得られる測定値を基に,安全な術中管理と術後合併症等の予防を行なっている.しかし,測定値が目標数値を示しているにもかかわらず,GDPだけが目標数値を示さないこともある.この時,GDPを目標数値に保つためには,いま以上に何が必要であるかを考えなければならない.さらに,手術を受ける患者の安全を担保するための一つのツールと考えた時,熟練技士と若手技士の差を埋めることのできる指標にもなり得ると考える.そこで今回,GDPの使用方法及び必要性について報告する.

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