共催学術セミナー3

アメリカの心臓デバイスクリニックにおけるIoMTの活用事例

長澤 智一
UCHealth・Memorial Hospital

 近年,各種メディアを賑わしている「IoT:Internet of Things」を日本語で直訳すと「モノのインターネット」となり,言葉から想像できないものになってしまう.しかし,「インターネットを活用した事(サービス)」と意訳して考えると想像しやすくなる.医療に関するIoTは「IoMT:Internet of Medical Things」と呼ばれ,特に心臓用デバイスでは早くから活用されている. 日本でも心臓ペースメーカーや埋込み型除細動器の指導管理料が,本年度の診療報酬改訂に伴い遠隔モニタリング加算を用いた指導管理料で増額され,臨床工学技士の果たす役割も増加している.管理する心電図波形データーは,転記,印刷,データーの移動,スキャナーでの取り込み等が必要で煩雑となる.また,電子カルテに取り込むことを考えると膨大な業務量となる.最近の遠隔モニタリング管理は,インターネットを活用した操作や閲覧,解析に加え,従来から転記,印刷,移動,スキャナーでの取り込みだけでなく,患者さんへの直接指導と多岐にわたり業務量を増大させている.さらに,インターネットを活用した遠隔モニタリング方法も会社ごとに異なる.
 アメリカでは,会社ごとに異なる遠隔モニタリングシステムがひとつのソフトウェアーでデーターベースとして統合され,電子カルテと連動させることが一般化している.これにより,病院のメリットとして,電子カルテを開けば患者さんのデーターが自動で更新されているため,必要な時に必要な情報を得ることができる.リード抵抗値の正常範囲逸脱などのエピソード発生時は病院に通知される.カルテ入力などが必要最小限ですむ事から,受け入れ可能人数が増える.患者が病院に来るリスクを減らすことで,保険会社から保険金が多く支払われるなどである.また,患者のメリットとして,病院がエピソード発生情報を把握している事から,安全安心が得られる.さらに,エピソードがない場合でも受診することなく3ヶ月ごとのチェックを受けることができるなど双方のメリットが大きい.
 このセミナーでは,心臓ペースメーカー指導管理を行っているアメリカの心臓デバイスクリニックが,どのように効率的にデーター管理を行い,どのように指導を行なっているか実例を交えて紹介する.

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