一般演題[ 教育・マネジメント ]

O-107
医療の質・安全を捉え直す!
~コミュニケーション・スキル強化と組織マネジメントの新たな手法~

北野 達也
星城大学 経営学部 健康マネジメント系 医療マネジメントコース/
星城大学大学院 健康支援学研究科 医療安全管理学

 現在,質・安全,病院機能などを評価認定する外部評価機関,公益財団法人日本医療機能評価機構の病院機能評価認定においては,未だ認定病院2,194施設(2018.5.11現在)で全国8,399施設(2018.2.28現在)の26.1%のみであり,医療提供体制における継続的な質の確保ができているとは言い難い.2015年10月1日,医療法第3章「医療の安全の確保」の第6 条の10 により医療事故調査制度が施行された.2018年5月末現在,2年間のセンター調査依頼件数累計52件(遺族から39件,医療機関から13件であり,院内調査結果報告書検証中の事例45件,院内調査結果報告書検証準備作業中の事例4件,医療機関における院内調査の終了待ち事例2件,調査終了1件.)とのことである.一方,公益財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止事業部の報告によると,この13年間で33,170件(報告義務対象医療機関277施設+参加登録申請医療機関765施設:2017.9現在)もの医療事故が発生している.これらのデータに基づき背後要因別に分析した「医療事故情報収集事業の事故報告の現状分析とその考察」(北野ら,2014)によるとコミュニケーション不足による医療事故が第2位を占めている.今日,医療安全対策加算算定条件として専従・専任の医療安全管理者の配置が義務付けられたものの,医療安全管理者の業務の53.5%(北野ら,2010)が,インシデント・アクシデント情報収集・分析を占めている現状である.これらの解決課題を組織による問題と捉え,医療スタッフのEmpowerment(引潜力北野)を引き出し,組織を構成するスタッフの合意形成,行動変容へ導くことが重要である.患者本位で安全・安心で安楽な質の高い医療提供を基本とし,患者の権利を重視した組織の確立手法,Non-Technical Skills(コミュニケーション,チームワーク,リーダーシップ等)強化の手法として,今回,①『YES AND』,②Coaching,③Facilitation,④Improvisation等を活用した安全な『場』創りを提言する.また,医療事故情報収集等事業及び医療事故調査制度の現状と課題を体系的に捉え,経験則・方法論に基づいた医療安全管理体制構築のための新たな問題解決の手法などについても述べるので,各医療機関で実践して頂ければ幸いである.

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