一般演題[ 教育・マネジメント ]

O-106
ARを使用した透析回路組み立て方法の学習支援アプリの開発

大野 由梨香、小林 寛
常翔学園 広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科 臨床工学専攻

【はじめに】
 臨床工学技士が行う血液浄化業務の中に回路の組み立て・プライミングがある.これらを学内実習として習得する場合,学生は指導者の実技を見て覚えたり,本を読んだりして学習する.しかし,細かく複雑な動作は一度では理解しづらい場合があり,誤った手技をする事によって不具合を生じる場合がある.そこで本研究では,実際の機器の近くで学習することを想定し,マーカーにタブレットをかざすことで動画または静止画と音声を表示するAR(Augmented Reality)を利用したアプリを作成した.

【方法】
本アプリは,ゲーム統合開発環境Unity(Ver2017.3.0f3)を使用し開発した.Unityはマルチプラットフォームな開発環境であり同じプログラムコードで,iOS,Androidなどで動作するアプリを作成できる.
 組み立て作業は,動脈回路と静脈回路に分けた.さらに作業が分かりにくい静脈チャンバを追加した.動画を撮影する際,回路全体が映るように心掛け,大切な所は手元がはっきり見えるように大きく撮影した.撮影後編集し文字を入れ重要な箇所を強調した.
 マーカー(75mm×55mm)はパワーポイントで作成し印刷したものを使用した.マーカーの真ん中に目的の回路の写真を置き,四方から見ても正面となるように名前を付けた.さらに,認識しやすくするために四隅に複雑な目印を配置した.マーカーを実物の回路やコンソールに貼り付け動画および静止画が再生できるかを確認した.

【結果と考察】
 作成したアプリは,マーカーにAndroid端末をかざすことで音のずれなどなく動画を再生することが出来た.マーカーの一部が隠れていても再生可能であった.しかしカメラのピントが合わない場合があり,この時は再生されなかった.このアプリにより初心者を対象として,実際に組み立て・プライミングをしている所を見ながら自主的に練習を進め,プライミング方法の習得がきるようになると考えられる.
 今回実際に作成した動脈回路の動画再生時間は2分以上と長くなってしまった.動画が長いとみる側が飽きてしまい見なくなってしまう可能性がある.しかし正しく細かな動作を伝えるにはある程度の時間が必要なため,このバランスに注意する必要があると思われる.

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