一般演題[ 業務・取り組み ]

O-098
臨床工学技士の宿直2名体制による救急医療に対する貢献と働き方改革への課題

中村 充輝、前田 哲男、藤本 義造、西口 賢治、亀井 理生、木村 優友、井ノ上 景子、田﨑 昭夫、三馬 省二
奈良県総合医療センター 臨床工学技術部

【目的】
 当院は平成26年4月に地方独立行政法人化され,平成30年5月に建物の老朽化から新病院に移転することとなった.また奈良県の医療改革として新病院からは医療の在り方も大幅にバージョンアップすることを目的に5ヵ年の中期計画を策定し,新しい医療提供を実現できるように様々な取り組みを行ってきた.その中の一つに「断らない救急医療の実現」がある.
 急性期医療における受入体制の構築に対し,臨床工学技士は平成30年6月から院内24時間勤務の宿直者1名から2名体制に変更した.今回,体制変更による効果と今後の課題について報告する.

【方法】
 平成26年4月~平成30年6月までの約4年間で,臨床工学技士の業務の変遷と院内24時間勤務体制における緊急業務と業務件数の推移について検討を行った.

【結果】
 時間外の緊急業務に対しては,On Call体制から院内24時間勤務体制の宿直体制へ移行した.その結果,集中治療室に関連する臨床工学技士の業務の増加と宿直開始後から一般病棟からの業務依頼が増加した.また,新病院に移転後から集中治療室・手術室の拡大や新しい診療科の設置による新規業務への参入,病床稼働率の増加によって,これまで1名で対応してきた夜間帯の業務を1名で対応できない状況も発生し,宿直者を2名に増加する必要があった.病院全体において臨床工学技士が院内24時間体制で勤務することの効果や今後の課題が抽出された.

【結語】
 地方独立行政法人化によって柔軟な病院の機能の見直しや経営改善が図られ,医療レベルの向上に貢献できるように全職員が一体となった取り組みが開始された.我々臨床工学技士は急性期医療に携わることが多く,決して充実したスタッフ数でない状況であるが,約3年間かけて若手スタッフの業務教育や先輩と後輩の協力体制を強化してきたことにより多くの業務実績を達成することができた.一方,人数の不足による勤務体制が宿直であることから翌日の休みを確保することが難しいといった問題もあり,今後,働き方改革としてワークライフバランスのとれた業務体制が必要である.

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