一般演題[ 血液透析(評価・その他)]
O-094
有効血流量の増加を目的としたピストンポンプ式SNDの駆動条件の最適化
濱崎 晃(1)、本行 美貴(1)、宇野 圭祐(1)、中村 光(1)、宇治 博通(1)、
東田 篤樹(1)、小笠原 康夫(1)、小野 淳一(2)
- 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科
- 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科/川崎医科大学附属病院MEセンター
【背景】
従来のシングルニードル透析(SND)の課題である有効血流量の向上を目的に,新しい血液ポンプ機構としてピストンポンプを用いた空気駆動方式を採用したピストンポンプ(PP)式SNDを提唱し,昨年の本学会で報告した.しかし,PPの性能が低く,最大有効血流量は 74mL/minにとどまっていた.そこで,PPの駆動容量の増加および駆動条件の最適化を図り,有効血流量の増加を行った.
【方法】
試作したPPには,最大駆動容量60mLのエアーシリンダを用いた.このPPを40mLの動脈チャンバーのエアーラインに接続し,チャンバー前後に2つの電磁弁を設置し,PPと電磁弁の動作をマイクロコントローラ(Arduino Uno-R3)で制御した.このPP-SNDの脱返血回路に外径15Gの穿刺針を接続し,循環液にRO水を用いPP-SNDの吐出性能を評価した.PPのサイクル時間(CT)を4~7秒に,駆動容量を40,50,60mL/strokeに変化させ,各条件下における有効血流量を測定した.また,PP駆動容量に対する有効血流量の比を吐出効率と定義して,各条件下において比較,検討した.
【結果】
駆動容積を40mL/strokeに固定し,CTを7,5,4秒と短縮したが,有効血流量はそれぞれ175,168,175mL/minであった.これに対し,CTを7.0秒に固定し,駆動を40,50,60mL/strokeと変化させたところ,有効血流量は175,183,196mL/minと増加した.同様に,CT 4.0秒で検討したところ,有効血流量は175,191,204mL/minとさらに増加を認めた.
【考察】
吐出効率は,駆動容量40mL/stroke,CT 7秒のとき,最大吐出効率51%を示し,CT 4秒にすると29.2%まで低下した.この原因としては,CTの短縮により空気の圧縮性が大きく影響したことが考えられた.これに対し駆動容量を増加することにより,有効血流量は増加したが,吐出効率は上昇しなかった.駆動容量の増加は,圧縮する空気容量の変動量が増加するため,駆動容量とCTの最適化が必要と考えた.
【結語】
本研究より,PP-SNDの駆動条件として,駆動容量60mL/stroke,CT 4.0秒にて最大有効血流量 204mL/minを得た.
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