一般演題[ 血液透析(評価・その他)]
O-093
ピストンポンプ式シングルニードル透析における動脈側チャンバーの特性評価
本行 美貴(1)、濱崎 晃(1)、宇野 圭祐(1)、中村 光(1)、宇治 博通(1)、
東田 篤樹(1)、小笠原 康夫(1)、小野 淳一(2)
- 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科
- 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科/川崎医科大学付属病院 MEセンター
【背景】
我々は,安全に夜間睡眠時透析を施行することを目的に,ピストンポンプ(PP)を使用した新型SND(PP-SND)を開発し,最大有効血流量 74mL/minが得られたことを昨年本学会で報告した.報告した研究データより,さらなる有効血流量の向上には,動脈チャンバー容量の増加が必要と考えた.本研究では,有効血流量の増加を目的に,二種類の動脈チャンバー構造を採用しPP-SNDの吐出性能に与える影響を検討した.
【方法】
本研究で試作したPPは,空気容量88mLのエアーシリンダを用い,駆動容量40~60mL/strokeの性能を有する.このPPを容量20mLのチャンバー2本を並列に接続したdobule chamber(DC)と,容量40mLのチャンバー1本を使用したsingle chamber(SC)のエアーラインに接続し,チャンバー前後に2つの電磁弁を設置し,PPと電磁弁の動作をマイクロコントローラ(Arduino Uno R3)で制御した.このPP-SNDの脱返血回路に外径15Gの穿刺針を接続し,循環液としてRO水を用いPP-SNDの吐出性能を評価した.PPのサイクル時間(CT)を4~7秒,駆動容積を40,50,60mL/strokeに変化させ,各条件下における実流量を測定した.また,PP駆動容量に対する有効血流量の比を吐出効率と定義し,各条件下における吐出効率を比較した.
【結果】
DCとSCによる吐出特性を比較したところ,いずれの条件下においてもSCの方が実流量が高値を示した.また,最高有効血流量はDCでは1サイクル時間を4s,PP設定値を60mLにしたときに最高有効血流量179.7mL/min,SCでは1サイクル時間を5s,PP駆動容量を60mLにしたときに最高有効血流量204.0mL/minだった.またそれぞれの結果で吐出効率を求めるとDCでは20.0%,SDでは28.3%だった.
【考察】
SCはDCに比べ有効血流量,吐出効率ともに高値を示した.チャンバー内の空気容量は,DCは14㎤,SCは12㎤だった.空気の容量が増えると流量を吐出するための空気圧縮量が増え,より多くの圧力が必要になるのでDCでは有効血流量が下がったと考えられた.
【結語】
現在の実験条件では,SCがPP-SNDに適していたが,DCの有効血流量増加には,空気容量の減少とともにCTの延長について検討する必要がある.
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