一般演題[ 血液透析(評価・その他)]
O-092
血液浄化用回路のピロー形状の違いが変形特性へ及ぼす影響について
中村 勇太、北川 園茄、武藏 健裕 広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科
【背景・目的】
血液浄化用回路には,脱血状態の連続的監視を目的としたピローが存在する.ピローの材質や形状についての詳細な規定はなく,製品毎に形状や変形特性が異なると考えられる.そこで,ピローの形状の違いが変形特性へ及ぼす影響について基礎実験にて検討した.
【方法】
4種類の血液浄化用回路(A:JMS(28mm×20mm),B:KAWASUMI(36mm×17mm),C:NIKKISO(34mm×18mm),D:NIPRO(35mm×19mm))を使用し,ローラポンプ(JMS:MF-01)にセットした.37℃に加温した水を200mL/分にて灌流させ,クレンメにて脱血圧を-50,-150,-300mmHgに維持した.この時の実流量,ピローの厚さ,幅,硬度をメスシリンダー,デジタルノギス(新潟精機株式会社:DT-200),硬度計(TECLOCK:GS-719G)にて測定した.また吸引負荷(1,2,3,4,5mL)を与えた時の圧力変化よりコンプライアンス(mL/mmHg)を算出した.各条件にてそれぞれの測定を5回実施し,統計学的解析をstudent’st検定にて行い,p<0.05にて統計学的に有意な差があるとした.
【結果】
全ての回路において,脱血圧の陰圧を強くするとともに実流量が有意に減少した.ピローの厚さについても有意に減少した.実流量の減少率とピローの厚さの減少率の関係は,各回路において異なる結果を示した.ピローAでは実流量の減少率も厚さの減少率も大きく,ピローCでは実流量の減少率は大きいが厚さの減少率は小さい結果となった.さらに全ての回路において脱血圧の陰圧を強くするとともに,ピローの幅は有意に増加し,硬度は有意に減少した.また,コンプライアンスは吸引負荷に伴い,有意に増加する結果を示したが,回路の種類による有意な差は認められなかった.
【考察】
ピローAの形状は他のピローの形状と比べて正方形に近く,ピロー中心部と端との距離が長い.そのため,中心部を支える力が弱く,そこに脱血圧がかかり厚さの減少率が大きくなったと考えられる.回路の種類によるコンプライアンスの有意差が認められかったことは,材料配合等の違いによる影響はピローの変形特性に関して少ないと考えられる.
【結語】
ピローの形状には製品毎の違いがあり,これによりピローの変形特性および脱血状態の視認性が異なることが示唆された.
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