一般演題[ 急性血液浄化・アフェレシス ]

O-090
病学連携によるCART用装置および回路セットの開発

福原 正史(1)、曽我部 稜(2)、山田 美香(2)、松山 和男(3)、 石川 正志(3)、友成 哲(4)、高山 哲治(4)、曽我部 正弘(5)、岡久 稔也(5)
  1. 公立学校共済組合 四国医中央病院 透析センター
  2. 公立学校共済組合 四国中央病院 ME機器管理室
  3. 公立学校共済組合 四国中央病院 外科
  4. 徳島大学 大学院医歯薬学研究部 消化器内科学
  5. 徳島大学 大学院医歯薬学研究部 地域総合医療学

【はじめに】
 医療機器開発においては,安全で使いやすい医療機器を目指し,臨床工学技士,看護師,医師などの医療スタッフ,大学の研究者および企業の開発担当者が上手く連携し,ニーズの抽出,専門知識やノウハウの活用,開発機器の評価や改良などを迅速かつ的確に行うことが重要である.本院では,平成25年度より大学との連携を通じて,医療現場の課題を抽出し,創意工夫による改善や臨床研究および医療機器開発による課題解決に繋げ,医療の充実と地域貢献を進めることを目的とした「病学連携推進事業」を展開している.平成25年10月に徳島大学は,半導体分野で世界シェアを占める装置の製造販売を行っている高度な技術を有する中小企業である(株) タカトリと連携し,医工連携事業化推進事業(平成25~27年度,経済産業省/AMED)によって腹水濾過濃縮再静注法(CART)の際に使用する胸腹水濾過濃縮専用装置の開発を開始し,平成28年8月に承認を取得した(T-CART®).さらに,大学のシーズを基に改良を加え,平成30年3月に小型低価格モデル(M-CART®)の承認を取得した(中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業,平成27~28年度,NEDO).

【目的・方法】
 今回我々は,病学連携推進事業の一環として,人間工学技術を基にデザインされたCART用装置のユーザビリティの評価,専用回路セットの改良および承認済み装置と認証済み専用回路セットを用いた市販後調査に加わり,多職種連携によるCART用装置の開発を行った.

【結果・考察】
 開発したCART用装置は,平成30年4月に日本アフェレシス学会により提唱されたCARTの安全基準を満たし,陰圧濾過や生理食塩液による濾過膜の自動洗浄機能を有しており,癌性腹水の処理にも有効であると考えられる.また,回路装着時間が短く,担当者の負担軽減につながると考えられる.

【まとめ】
 医療機器開発においては,臨床工学技士が研究開発チームのメンバーとなり,医療機器に関する専門知識とノウハウを基に,設計や評価に加わるととともに,市販後も正確かつ継続的な臨床評価と改良に向けての情報提供を行うことが必要である.

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