一般演題[ 急性血液浄化・アフェレシス ]
O-083
AN69ST膜のlifetime関連因子の膜面積による比較検討
岡田 真澄(1)、平山 隆浩(2)、末永 健二(2)、藤原 宏成(2)、
落葉 佑昌(2)、岩藤 晋(2)、内藤 宏道(3)、中尾 篤典(3)、廣畑 聡(1)
- 岡山大学大学院 保健学研究科
- 岡山大学病院 臨床工学部
- 岡山大学病院 高度救命・救急センター科
【背景・目的】
救急・集中治療領域において敗血症などの患者に対するサイトカイン吸着膜としてAN69ST膜が注目されている.一方で,膜が持つ陰性荷電によるメシル酸ナファモスタット(NM)の吸着が原因で抗凝固管理に影響を及ぼすことが報告されている.AN69ST膜においては膜面積が大きくなることによる陰性荷電の増加により,lifetimeが短くなったという報告もある.
私たちはin Vitro透析回路モデルにてAN69ST膜のNM吸着量を測定し報告した.そしてNMを膜の後から追加投与することで抗凝固管理を有効に行えると考えている.今回,AN69ST膜の膜面積によるlifetimeの比較検討を行った.
【方法】
2015年1月から2018年5月までに岡山大学病院高度救命救急センターにてAN69ST膜でCRRTを施行した症例を抽出した.24時間未満に凝固以外の理由で中断した症例は除き,AN69ST膜の膜面積1.0m²と1.5m²の2群に分けた(バクスター社製,SepXiris).
また各種項目(患者背景,生化学,全血算,凝固機能,急性期スコア)でlifetimeに関係する因子を検討した.
【結果】
30例が対象となった (1.0m²群: 17例,1.5m²群: 13例).抗凝固薬の持続投与量,ACTの値に差はなかった.lifetimeの中央値は1.0m²群: 34.15 ± 15.01時間(24時間未達成: 6例),1.5m²群: 36.82 ± 15.99(24時間未達成: 3例).2群間のLifetimeで有意差は無かったが(p = 0.200),膜面積の大きい1.5m²群の方がlifetimeは長く,凝固した件数の割合も低かった.
【考察】
膜面積の増大によりNMの吸着量が増加し,lifetimeの短縮が起こるという報告があり,中断理由はⅤチャンバーの凝固が多いとされている.今回の結果では1.5m²群の方がlifetimeが長い傾向が伺えた.この理由として,有効膜面積の増加による効果が考えられる.
また,抗凝固薬の使用量,ACTの値に関しても差はなかった.
【結語】
1.5m²は1.0m²と比べ,lifetime短縮は確認されなかった.
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