一般演題[ 急性血液浄化・アフェレシス ]

O-082
CRRTにおけるライフタイムに関係する因子の検討

吉村 友里、冨貞 公貴、常友 宏樹、古谷 一貴、大野 晶範、松山 法道
山口大学医学部附属病院 ME機器管理センター

【はじめに】
 持続的腎機能代替療法(CRRT)の施行時には48時間毎に回路交換を行っているが,回路内凝固により短時間で回路交換を強いられる症例を経験する.

【目的】
 CRRT施行症例の回路内凝固によるライフタイムに影響する因子について検討したので報告する.

【方法】
 対象は急性腎障害によりCRRTを施行した17例.開始から48時間未満に回路内凝固により継続不能となった5例をF群,48時間以上,連続使用できた12症例をT群とした.装置は旭化成メディカル社製ACH-10を使用した.運転条件は血流量(Qb):80mL/min,透析液流量(Qd):500mL/h,濾過流量(Qf):300mL/h,メシル酸ナファモスタット:20mg/hであった.抗凝固薬,CRRT開始時の血液データ,バイタルサインなどについて比較検討を行い,検定にはχ2検定,Student-t検定を用いp<0.05を有意差有りとした.

【結果】
 血小板数は,F群:11.7±5.8×104/μL,T群:6.0±4.0×104/μLとF群が有意に高く(P=0.030),フィブリノーゲン値もF群:592.6±359.0mg/dL,T群:323.4±153.7mg/dLとF群が有意に高かった(P=0.042).

【考察】
 血小板数に有意差があったがF群,T群共に基準値以下であるため,フィブリノーゲンの関与が強いのではないかと考える.フィブリノーゲンは血液凝固に大きく関与する因子であり,高値の場合は短時間で回路内凝固が発生する可能性が示唆された.フィブリノーゲンは血液粘度上昇にも関与しており,実血流量低下等の影響もライフタイムに影響していると考えられる.今回の検討では,脱血状態はピローによる観察であり脱血圧を実測していない.今後は脱血圧,実血流量についても検討する必要がある.

【結語】
 CRRTのライフタイムに関係する因子を検討した.血小板数,フィブリノーゲンが高い場合,ライフタイムが短くなる可能性が示唆された.

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