一般演題[ 心臓カテーテル・不整脈 ]

O-079
修正大血管転位に伴う右室不全(体心室)に対し多点ペーシングが奏功した1症例

井口 浩貴(1)、竹中 祐樹(1)、西山 宏徳(1)、大西 啓太(1)、 落葉 佑昌(1)、末永 健二(1)、藤原 恵莉(1)、平山 隆浩(1)、 西井 伸洋(2)、三好 章仁(2)、伊藤 浩(2)
  1. 岡山大学病院 臨床工学部
  2. 岡山大学病院 循環器内科

【症例】
 患者は46歳男性,小学校検診で右胸心のみが指摘されたが,精査は受けず症状無く生活していた.2015年息切れが出現し,検診で房室ブロックを指摘されたが精査は受けず.2017年12月に労作時倦怠感が出現し,検診で徐脈,完全房室ブロック,cc-TGAを認め緊急入院となった.入院時より発作性心房細動,非持続性心室頻拍,EFの低下(35%)を認め,2018年1月にCRT-D植え込み術を施行された.CRT-D本体はRESONATE X4 CRTDを使用した.リードはそれぞれRA appendageにINGEVITY Active,Pulmonary ventricle(解剖学的左室)にRELIANCE 4-FRONT SG,anterior veinにACUITY X4を使用した.いずれもBoston Scientific社製である.植え込み時設定はDDD 60bpm,MultiSite Pacing設定はpressure wireを用いて左室 dp/dtの評価を行い,LVa(LV ring 3-RV coil)→LVb(LV ring 4-RV coil)→RVとした.植え込み後EFは50%までに改善し,術後9日目で退院した.

【考察】
 cc-TGAは先天性心疾患の約1%と稀な疾患であり,40〜50歳代に息切れや呼吸苦を契機に発見されることが多い.幼少期に double switch術を施行されていなければ体心室が解剖学的右室であり,経過に伴い心不全を発症する.解剖学的左室に対するCRTの効果は広く知られているが,解剖学的右室に対する効果はcontroversyである.また多点ペーシングは冠静脈リードの2点からペーシングを行うことでCRTノンレスポンダー患者の新たな対策治療として期待されている.今回cc-TGAの右心不全(体心室)に対しMultiSite Pacing CRTを導入し良好な経過を得ることができたが,今後も慎重な経過観察が必要であると考える.

【まとめ】
 修正大血管転位(cc-TGA)に伴う右心不全(体心室)に対してMultiSite Pacing CRTが奏功した症例を経験したので報告した.

CLOSE
© 2018 第8回中四国臨床工学会. All Rights Reserved.
Produced by オンライン演題登録システム・査読システム|演題登録.com|