一般演題[ 心臓カテーテル・不整脈 ]
O-076
AP Scanを用いた睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングへの取り組み
吉山 潤一、上木 真由美(1)、元山 明子(1)、中河 啓悟(2)、石橋 克彦(2)
- 中国電力株式会社 中電病院 ME管理室
- 中国電力株式会社 中電病院 循環器内科
【はじめに】
睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は,睡眠時に呼吸が停止もしくは低呼吸になる疾患であり,国内における患者は数百万人存在すると言われる一方でその多くは診断を受けておらず潜在的な患者数が多い疾患である.ペースメーカ使用集団での有病率は最大60%となり,その80%が未診断のままとも言われている.このたび,ボストンサイエンティフィック社製ペースメーカに搭載されているAP Scanを用いてSASのスクリーニングに取り組んだので報告する.
【対象および方法】
対象は,当院ペースメーカ患者のうちAP Scanが搭載された機種を植込みしている10人(男性6名,女性4名,平均年齢87歳)とした.ペースメーカチェック時にAP Scanの呼吸障害イベント(以下RDE)を確認し,平均15events/h以上記録されている場合にSASのリスクがあるとして医師へ報告.同意が得られた患者にPSG検査を実施した.
【結果】
ペースメーカチェック時にRDEが高値であったのは6名であった.PSG検査は,簡易検査を6名に実施,追加で精密検査を実施したのは1名であった.RDE最小値の平均は17.7,最大値の平均は52.3であった.簡易検査のAHIは平均17.2でAHI 15以上は3名であった.3名のうち1名のAHIは42.3で治療介入が必要な状況であった.精密検査の同意が得られた1名のAHIは28.7,精密検査の同意が得られなかった1名は経過観察を希望された.
【考察】
RDEが高値でPSG検査を実施した6名はいずれも自覚症状が乏かったものの,RDE最大値が高値の場合AHIも高く,相関性が認められた.RDE最大値が高値にもかかわらずAHIが低値であった患者が1名いたことから今後症例を重ねてRDEとAHIの関係を検討していきたい.AP ScanでRDEをモニタすることで,特別な検査を追加することなくチェックデータから患者の夜間における呼吸異常を推察できる可能性があり,自覚症状の乏しい潜在的なSASに対してPSG検査を考慮する判断材料になることが示唆された.
【結語】
AP Scanにより自覚症状の乏しいペースメーカ患者の呼吸異常を推察し,SASの診断・治療へと繋げることで患者QOLの向上に寄与することが期待される.
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