一般演題[ 心臓カテーテル・不整脈 ]

O-074
定量的冠血流比(QFR)の検者間誤差,部分冠血流予備量比(FFR)との比較

小寺 勝大、冨貞 公貴、常友 宏樹、古谷 一貴、丸山 昂汰、大野 晶範、松山 法道
山口大学医学部附属病院 ME機器管理センタ-

【はじめに】
 心筋虚血診断法である部分冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve:FFR)は,冠動脈インターベンションの適応を判断する基準とされている.近年,施行されている冠動脈造影を基にした定量的冠血流比(Quantitative Flow Ratio:QFR)は,冠動脈造影の3次元再構築とフレームカウントを用いて機能的狭窄度を測定することが可能である.

【目的】
 QFRの熟練度の違いによる検者間誤差について,FFRと比較し検討すること.

【方法】
 2013年から2017年に安定労作性狭心症が疑われ,CAGとFFRを行った患者のうち20名を無作為に抽出とした.対象部位は,RCAが2例,LADが15例,LCXが3例であった.対象の20症例を2人の検者で独立してQFR解析し,測定値とFFRの値を単回帰分析にて比較した.
 検者AはQFR測定の熟練度が高くMedis QFR Training Courseを修了している.検者Bは今回初めてQFR測定を行った.

【結果】
 検者AのFFR値とQFR値の直線回帰式Y=0.88078X+0.10308であり,相関係数r=0.84であった.検者BのFFR値とQFR値の直線回帰式Y=0.33505X+0.5318であり,相関係数r=0.29であった.

【考察】
 検者Aの結果からは,A.R.ven Rosendaelらの報告と同じくQFRはFFRを代用できる有用な虚血診断デバイスになり得る可能性が示唆された.しかし,検者Bの結果からはFFRとQFRの相関性は低く,熟練度がQFRの測定値の誤差に影響した可能性が考えられる.
 検者Bの測定値がFFRと1割以上差がある症例が5例あり,そのすべてがLADであった.また,その内の3例が#6に病変があった.誤差要因として,#6の分離の難しさが影響したと思われる.対策としてはQFR専用のviewを撮影しなければならないが,当院ではまだそこまでに至っていない.また,FFRワイヤー先端位置認識も,要因の一つであると思われる.
 QFRはFFRに比べリスクが少なく有用な診断方法であるが,測定者の熟練度に影響される因子が大きいと思われるため注意が必要である.

【結語】
 熟練した検者のQFR値はFFR値と強い相関があったが,QFRの値は検者の熟練度に左右される可能性が示唆された.

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