一般演題[ ME機器(評価・システム)]

O-068
テルモ輸液ポンプTE-LM702A導入後の状況と今後の課題

原 敏郎、須山 達也、大峠 咲弥香、岩田 敬治、村上 純司、日野 厚志、福田 勇司
松江赤十字病院 医療技術部 臨床工学課

【はじめに】
 当院ではテルモ輸液ポンプTE-161SA(以下,TE-161SA)のリースアップに伴い,2017年4月よりテルモ輸液ポンプTE-LM702A(以下,TE-LM702A)190台を導入し運用している.今回,導入1年が経過し何例かのインシデントを経験したので,その対策と今後の課題について報告する.

【運用開始後の状況と対応】
 運用開始後2018年3月までに報告されたインシデント内容は次のとおりである.
① 輸液開始数時間後気がつくと,アラーム発生もなく積算表示は加算されているが,薬液残量は開始時とほとんど変わっていないなどの過少投与8件.
② 気泡アラームが鳴らない1件.
③ 電源が入らない3件.
インシデント発生後報告を受け,速やかに発生時の状況を聞き取り調査した.使用していた輸液ポンプは回収するとともにメーカーに報告,点検を依頼した.
 メーカー検証の結果①と②についてはポンプ機能に異常はなく,輸液チューブ装着状態の問題が示唆されたこと,また③については過度の静電気の影響により発生した可能性があるとの報告を受けた.
 今後の対応についてメーカーとも協議を行い,静電気による影響軽減対策およびチューブ取付け手順や輸液残量確認チェックの指導をメーカーおよび医療安全推進室の協力のもと実施した.

【まとめ】
 2017年4月より輸液ポンプをTE-161SAからTE-LM702Aへ更新し,今まで起こっていなかったインシデントが報告された.電源に関してはメーカーによる静電気対策実施後の発生報告は今のところない.今回特に報告の多かった輸液の過少投与に関しては,TE-LM702Aへの変更で輸液セットにAFFクリップが付いたこと,機器本体が縦型から横型になり輸液セット装着手順が変わったことなどによるヒューマンエラーが疑われた.しかしインシデント発生後の聞き取りでは明確な原因究明には至っていない.
 更新後の安全な運用のため,導入検討時よりTE-LM702Aの看護師への紹介およびデモ使用を行い,運用開始前には操作する職員を対象に実機を使った取扱い説明会も実施していた.しかし今回のように同様なインシデントが多く報告されたことで,大多数のスタッフが使用する機器導入時の研修形式の見直しと,導入後の継続した研修の必要があると考える.

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