一般演題[ ME機器(評価・システム)]
O-064
日常生活環境における細菌数の調査
花岡 隼人、上田 雅彦、樫野 真
徳島文理大学 保健福祉学部 臨床工学科
【はじめに】
空中浮遊細菌は気道,消化管,生殖器などの生理的開口部や創傷部位から体内に侵入する.侵入する細菌によって,新生児や周術期など抵抗力が脆弱な患者の場合,非病原菌であっても肺炎や敗血症などの重篤な感染症を引き起こす可能性がある.また,正常な抵抗力を有する健常者であっても病原菌が体内に侵入すれば重篤な感染症を引き起こすことがある.細菌が体内に侵入した際の症状として,嘔吐,下痢,発熱,頭痛,悪寒や呼吸困難などを呈する.
多くの学生が日常的に使用する実習室にはどのような細菌が存在するのかを調査する.本研究では,その細菌が生体にどの程度影響するのかを検討することを目的にする.
【方法】
細菌の採取対象は,実習室の入口(以下入口),入口から一番遠い窓際(以下窓際),入口と窓際の中心地(以下中心)とした.それぞれの対象について17時に3日間細菌を採取した.
細菌の採取方法は,空中浮遊細菌が自然に落下したものを滅菌シャーレに設置した標準寒天培地で採取した.採取した細菌の培養には,1000 mlあたり,酵母エキス2.5 g,カゼイン製ペプトン5 g,ブドウ糖1 gの組成の標準寒天培地(栄研化学株式会社製)を使用した.培養後に細菌の菌種同定と定量を行った.
培地の高さは,平成29年度厚生労働省厚生統計要覧第2編第1章を参照し,19歳から22歳までの男性および女性の平均身長164.7 cmを参考にし,頭頂から口元までを20 cm程度と仮定した上で,床から145 cmの高さで細菌を採取した.
細菌の採取方法は,培地を入れた滅菌シャーレの蓋を開け,5 min放置する.放置開始から5 min後にシャーレの蓋を閉じ,4 ℃で冷蔵保存した.採取した細菌の培養時間は,37 ℃,48 hrとした.
【結果・考察】
日常的に使用する実習室にどのような細菌がどの程度存在するのかを把握した.把握した細菌が口元及び鼻から体内に侵入する可能性を検討した.また,実習室に病原菌が存在するか否かを把握し,病原菌が存在した場合には,感染症のリスク低減策について検討した.また,非病原性細菌についてもどの程度存在するかを把握することで,一定量以上の細菌が体内への侵入を予防する方策について検討した.これらから,感染症のリスクを低減できるか否かを検討したので報告する.
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