一般演題[ 人工心肺・補助循環 ]

O-063
当院における新生児,小児ECMOシステムについて

玉上 大暉、近田 優介、森西 啓介、野田 康裕、緒方 良輔、小林 誠司、小松 崇俊、大西 芳明、北川 哲也
徳島大学病院 診療支援部 臨床工学部門 ME管理センター

【はじめに】
 体外式膜型人工肺(Extracorporeal membrane oxygenation,以下ECMO)は,重症呼吸不全や循環不全に対して,長期耐久型膜型人工肺とポンプを用いて,酸素化と二酸化炭素除去や循環補助を行う治療法である.近年,成人領域から新生児,小児領域に対して,ECMOが適応され,各施設によりECMOシステムが用いられている.

【対象および方法】
 対象は2015年1月〜2018年5月までに新生児,小児領域に施行されたECMO症例は13例であり,Cardiac ECMO(V-A)症例は8例(心臓血管外科術後のLOS,肺出血).Respiratory ECMO(V-V)症例は2例(インフルエンザ肺炎,慢性肺疾患)であった.今回,新生児,小児領域に施行されたECMOシステムについて検討した.

【ECMOシステム】
 ECMOシステムは遠心式血液ポンプ(ROTAFLOWコンソール,MAQUET),膜型人工肺(BIOCUBE 2000,ニプロ)が一体となった血液回路(Endumo 2000,平和物産)を使用している.血液回路内にシャント回路を有しているので,患者送血流量を測定する必要があるため,超音波血流計(HD800,HADECO)を装着している.新生児,小児領域は細い血液回路,カニューレ及び小型の膜型人工肺の使用を余儀なくされるため,血液回路内圧及び血液ガスを連続的に測定する必要性がある.そこで,我々は膜型人工肺の前後圧を監視できる観血的血圧モニタリングを用いた監視システムと体外循環用連続血液ガスモニター(DATA MASTER,SORIN)を使用している.

【まとめ】
 ECMO管理上,血液流量が低下する原因として,体血圧上昇,血液回路やカテーテルの閉塞に伴う送脱血不良,遠心ポンプ及び血液流量計の不良などが考えられる.また膜型人工肺による酸素化能が低下する原因として,血栓による目詰まり,ウェットラングなどが考えられるため,患者送血流量,膜型人工肺前後圧,連続血液ガスモニタリングを用いて,連続的なモニタリングをすることにより,安全なECMO管理を行うことができた.
 今後,各種医療機器から得られるデータを一元化できる電子的な管理記録システムが必要であると思われた.

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