一般演題[ 人工心肺・補助循環 ]
O-057
当院における胸骨部分切開下弓部人工血管置換術の体外循環法
千葉 二三夫、多田 亮祐、中屋 里佳子、菊谷 弥、桑原 洋平、鈴木 学、斎藤 大貴、今野 裕嗣、菅原 誠一、渡部 悟
手稲渓仁会病院 臨床工学部
【はじめに】
近年,低侵襲心臓手術(MICS)が積極的に行われるようになり,当院においても2014年から弁膜症に対してMICS手術を行っている.2016年2月から,呼吸機能低下を合併している症例や状態の安定した胸部大血管手術に対し,胸骨部分切開下による弓部人工血管置換術(MICS TAR)を開始したので,今回,当院におけるMICS TARの体外循環法について報告する.
【対象】
2016年2月から2018年3月までに施行したMICS TAR 17例を対象とした.術式はTAR:14例,TAR+OSG:1例,PAR:1例,PAR+AVR:1例で,平均年齢76.9±6.4歳,体表面積1.66±0.2㎡,男女比11:6,呼吸機能低下症例は9例で平均FEV1.0%は59.4±8.9%であった.
【方法】
胸骨部分切開は第4肋間までの逆T字型で送血部位は上行大動脈とし,カニューレサイズは21~24Fr(dispersion)を用い,脱血部位は大腿静脈とし,カニューレサイズは23~29Fr(HLS)を用いた.吸引補助脱血法(VAVD)で行いOpen Distal Anastomosisにて直腸温28℃で循環停止とした.脳保護法は順行性脳灌流法(SCP)を用い2ポンプ3分枝に送血した.心筋保護は順行性BCPにて注入後持続血液灌流とした.下半身再灌流後に左鎖骨下動脈,中枢側吻合後大動脈遮断解除とし左総頸動脈,腕頭動脈吻合にてSCP終了し完全復温とした.【結果】CPB時間208.3分±30分,AXC時間113.3分±20分,C.Arrest時間48.6分±12分,SCP時間133.4分±24分,ICU入室後~抜管時間は平均8時間23分(90分~19時間)であった.
【考察】
MICS TARでは,限られた視野で大動脈遮断や解除を行うため術者および麻酔科医との連携を密にして対処する必要がある.良好な脱血を得るためにはVAVDの併用は必須である.心筋保護法は順行性のみとなるため,Cold BCPとCold Blood,Warm BCPと Warm Bloodを併用し虚血時間の短縮と自己心拍を図ることが重要である.
【まとめ】
MICS TARは,呼吸機能低下を合併している症例や状態の安定した症例に対して良好な結果であったため,今後も治療の選択肢の一つとなりうる可能性が示唆された.
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