一般演題[ 血液透析(VA)]
O-054
穿刺トレーニング用パッドの研究開発
野村 禎之、田中 一斗実、西手 芳明
近畿大学 生物理工学部 医用工学科
【背景】
医療従事者が穿刺トレーニングを行うデバイスの1つに,模擬血管付きの穿刺パッドが存在する.しかしながら,既存の穿刺パッドは触感および穿刺時の感触が人の皮膚とは異なっている.さらに,穿刺パッドの耐久性においても10回程度の反復穿刺が限界のため,費用の面からも改善が必要と考えられる.
【目的】
人の皮膚に近い感触と,耐久性を兼ね備えた材料による穿刺トレーニング用パッドの研究開発を行い,医療従事者の穿刺技術の向上・維持に役立てる.
【方法】
年齢21~22歳で男性10名,女性8名を対象として,デュロメータを用いて荷重10Nで皮膚表面の硬度の測定を行い,JIS K 7312の規格より,それと同等の硬度の食用肉を人の穿刺部(前腕)と仮定し,これを基準にして以下の実験を行った.食用肉(豚肉),既存の穿刺パッド(以下:穿刺パッド),皮膚材料(シリコン,ウレタン,エラストマ)をそれぞれH15mm×W45mm×D20mmの大きさに切って試料片とし,小型卓上試験機EZ Test®(株式会社島津製作所:京都府)を用いて,これらの3種類の試料片に対して,規格21Gの注射針の穿刺速度を20mm/minとして貫通圧力の測定を10回ずつ行い,平均圧力より比較検証を行った.
【結果】
平均圧力値は,食用肉で0.13N(±0.052),穿刺パッドで0.12N(±0.001),皮膚材料で0.336N(±0.07)となった.この結果から,食用肉と穿刺パッドはp=0.3853で有意差はなかった.食用肉と皮膚材料,穿刺パッドと皮膚材料の結果はそれぞれp=0.0282とp=0.0016であり,それぞれ有意差があった.
【考察】
有意差から,食用肉と穿刺パッドは同等の材料と仮定できる.また,食用肉および穿刺パッドと比較して,皮膚材料が両者の平均圧力値を上回っていた事から,皮膚材料と実際の人の皮膚では感触が大きく異なると考えられる
.
【結論】
測定結果より,食用肉の測定圧力値に数値を近づける事が,より人の皮膚に近い触感および穿刺時の感触をもつ材料の開発に繋がると考えられる.また,今回の皮膚材料が食用肉より高い圧を維持していたことを考えると,より柔らかくすることで,感触を人の皮膚に近づけることが出来ると考えられる.
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