一般演題[ 血液透析(VA)]

O-053
穿刺イメージトレーニングシステムの試作

柴田 祐平、小林 寛
常翔学園 広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科 臨床工学専攻

【背景・目的】
 血液浄化業務の一つである血液透析では臨床工学技士がバスキュラーアクセスに穿刺を行うことで透析が行える.穿刺を行う際には透析患者さんごとに血管の状態や位置などが異なるため,スムーズに穿刺を行うには経験や感覚が必ず必要になる.そのため新人の臨床工学技士は穿刺の訓練が必要である.現在,穿刺の訓練は患者に見立てた腕モデルや実際に透析患者さんへ穿刺することで経験を重ねる手段などがある.しかし,新人が透析患者さんへ穿刺を行う事での訓練は透析患者さんへのリスクや負担を増やすリスクもある.
 そこで今回の研究では穿刺の訓練をより安全で反復して行えることを目的とし,針の角度と深さをモニタで可視化でき,血管の位置と太さが設定可能なイメージトレーニングシステムを試作した.

【方法】
 画面上の針の大きさを17G(1.46mm)として腕の横断面を相対的に表示した.穿刺の際に重要となる針の角度と深さが連続的に表示できるようにするため,シリンジ(50ml)に加速度センサー(ADXL337,ANALOG DEVICES製)と変位センサー(アンプ内蔵式LVDT,DL1-203UR-CC(CC3L),新光電機製,測定範囲0~20mm,重量約100g)を取り付けることで模擬穿刺針とした.変位センサーのコア軸に挿入する直径3mmのステンレス製金属棒にバネを取り付けて血管の弾性を再現した.また,逆血の目安として画面上で針先が血管に触れる際に赤色LEDを点灯させた.それぞれの信号を小型マイコンArduinoを介してゲーム統合開発環境Unity(Ver5.3.8.p2)に取り込み,血管径(3~6mm相当)と血管の深さ(1~2mm相当)を自由に変えられるようにプログラムを作成した.

【結果・考察】
 針の角度と深さをパソコンの画面上に再現することで穿刺針の具体的な位置を表示することが出来た.試作した穿刺イメージトレーニングシステムは穿刺の挿入具合を角度と深さで表示させるため,従来確認できなかった腕内部の位置感覚をより具体的なものに出来る特徴がある.そのため,穿刺初心者への説明や練習時に安全で何度でも使用できるのではないかと考える.しかし今回作成した模擬穿刺針は実際の針と比べ形や重さが違う.また穿刺特有の針を挿入した際の感触も再現出来ていない.今後は,これらの事を改善していく予定である.

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