一般演題[ 血液透析(VA)]

O-051
EDVの有効な臨床使用方法の確立に向けて

岩田 康伸、川原 勁介、平井 沙季、山崎 さおり
KKR高松病院 血液浄化センター臨床工学科

【背景・目的】
 VA機能評価ガイドラインではFV(Flow Volume)RI(Resistance Index)の記載はあるがその他の記載はされていない.VAIVT(Vascular Access Intervention Therapy)治療症例においてFV・RIで評価しきれない症例があることから狭窄部位血管径2.5mmをCut offとしたときのEDV(End-diastolic Flow Velocity)の有効性に関しての報告を行った.狭窄部位の違いによりEDVに差が出るのか,また有効なEDV使用方法の検討を行ったので報告する.

【方法】
 維持透析患者VAUS:345件のAVF機能評価を対象に,狭窄率50%以上2.5mm以下で狭窄あり,それ以外は狭窄なしとした.狭窄あり症例は更に吻合部近傍とmain route上に存在するもの2群に分け,その時のFV・RI・EDVのCut offを算出,性別,糖尿病の有無,年齢,透析歴,上腕動脈径との関連性の検証を行った.解析には,Welchのt検定,ROC曲線,ロジスティック回帰分析を使用した.

【結果】
 吻合部近傍Cut off/FV:469.7ml/min・RI:0.61・EDV:58.6cm/s,main route Cut off/FV:615.8ml/min・RI:0.55・EDV:51.3cm/sであった.上腕動脈径,FV,RIの平均値で2群間に有意な差が生まれた.ロジスティック回帰分析にて吻合部近傍・main route,2郡共でFVに関しては上腕動脈径で有意性が選択された.

【考察】
 前回の報告で狭窄部位を分けず無作為にEDVのCut offを算出した際64.6cm/sであったのと今回の結果で吻合部近傍:58.6cm/s,main route:51.3cm/sで有意差を得られなかったことからも狭窄部位の特定は困難であるといえる.このことからEDVは狭窄があるかどうかのスクリーニングで使用することが望ましいと考えられた.FVでの上腕動脈径の有意性が選択されたことからもShuntの発達具合と上腕動脈径の関連性がある可能性が示唆された.ただ動脈石灰化が及ぼす影響は大きく導入期から橈骨動脈が発達しない症例なども多数存在することから,動脈硬化の状態を含めた解析が必要だと考えられる.

【まとめ】
 EDVはVAIVT治療症例のフォローを主体として再狭窄のスクリーニング検査で使用することが望ましいと考えられた.

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