一般演題[ 内視鏡 ]

O-049
内視鏡外科手術における4K内視鏡システムの有用性について

竹内 隆浩
一般財団法人 倉敷成人病センター 臨床工学科

【緒言】
 近年,内視鏡外科手術の普及に伴い内視鏡関連機器は飛躍的に進歩を遂げている.特に術者の目の役割を果たす内視鏡システムに関しては遠近感を補うために立体感を強調した3D内視鏡システムや従来のフルハイビジョンシステム(以下,Full HD)に比べて画素数が4倍となった4K内視鏡システム(以下,4K),さらには16倍の8K内視鏡システムも実用化されており,これらの機能を搭載した内視鏡システムは手術への恩恵が大きい考えられている.
 当院でも2016年9月より4Kを導入しており,4Kの特長としてあげられる高精細・広色域が内視鏡外科手術に対してどのような効果を期待できるのか検討をおこなった.

【方法】
 2017年1月から2017年12月の間に同一執刀医によって施行された腹腔鏡下単純子宮全摘術に対して4K群(n= 8)とFull HD群(n= 16)の2群における(1)手術時間(2)出血量(3)膣断端縫合時間(4)膣断端縫合時に糸を取り損ねた回数に関して後方視的に比較をおこなった.

【結果】
 2群間(4K群 vs Full HD群)において手術時間(93±18min vs 85 ±16min),出血量(61 ±59mL vs 110 ±95mL)および膣断端縫合時間(311 ±84sec vs 308 ±81sec)に統計学的に有意な差はみとめなかった.一方,膣断端縫合時に糸を取り損ねた回数(0.38 ±0.52回 vs 2.43 ±1.67回)に関しては4K群がFull HD群に比べて統計学的に有意に低かった.(p<0.05)

【考察】
 出血量に関しては統計学的に有意な差は認められないものの4K群では減少傾向にあり,解像度の向上により微細な血管の視認性が向上したことが要因であると考えられた.また,糸を取り損ねた回数の減少からは色域拡大による色再現性の向上により組織の境界が強調されFull HD群と比べ単眼立体情報の増幅という相乗効果が得られることが考えられた.

【結語】
 今回は腹腔鏡下単純子宮全摘術のみを対象としたが,悪性手術等の難易度が高く長時間におよぶ症例において4Kは手術の精度や安全性の向上に大きく貢献できる可能性を示した.

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