一般演題[ 人工呼吸 ]
O-044
NPPV人工呼吸器における吸気立上がり時間とマスクの選択が患者換気状態へ及ぼす影響に関する基礎検討
河村 将熙、井上 翠、武藏 健裕
広島国際大学 保健医療学部 医療技術学科
【目的】
NPPV人工呼吸器V60(PHILIPS)の吸気立上がり時間(Rise Time)及びマスクの種類に着目し,これらが患者換気状態(患者吸気努力,換気量)へ及ぼす影響について,自発呼吸患者モデルを用いた基礎実験にて検討した.
【方法】
V60にNPPV専用回路,マスク(PHILIPS社製①:AF811ジェルフルフェイスマスク,②:AF541 EE leak1 フルフェイスマスク,③:パフォーマックス トータルフェイスマスクの三種類)を接続し,各マスクにおいて適切なリーク量となるよう患者モデル(レサシアン・モジュラーシステム:トルソ)へ装着した.患者モデルをTTLモデル肺の片肺へ,反対の片肺へ人工呼吸器(Servo-S:Maquet)を接続し,モデル肺の両肺を固定することで自発呼吸を再現した.また,モデル肺の設定は正常肺(R:気道抵抗5cmH2O/L/s, C:肺コンプライアンス0.05L/cmH2O)及びRとCを変化させた病態肺(計5パターン)とし,各条件にて換気量およびモデル肺内圧変化(吸気努力)を20回ずつ測定した.
【結果】
正常肺における吸気努力はRise Time:1と比較し5の場合に,各マスクにおいて①2.2倍,②2.2倍,③2.0倍に有意に増加した.またR増加でも有意に増加し,C低下では減少を示した.次に正常肺における換気量(mL)は各マスクにてRise Time:1,5の順で①423.3,432.0,②477.1,470.1,③479.8,461.7を示した.R増加時では同様に①399.9,409.2,②420.0,421.5,③465.7,447.6を示した.またC低下時では同様に①386.5,390.1,②420.7,415.8,③424.1,411.7を示した.①,②,③においてR増加及びC低下により換気量は有意に減少した.また,Rise Timeの上昇により換気量は①では有意に増加し,②と③では減少した.
【考察】
全てのマスクおよび条件において吸気努力はRise Time:1の方が小さくなった.しかし,換気量では各マスクによって傾向に違いが認められ,各マスクの形状や容量の違いが影響したのではないかと考える.
【結語】
マスクの選択は換気量に対する影響が強く,各マスクの特徴を考慮したRise Time設定が必要である.今後はリーク量等による影響も検討する必要がある.
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