一般演題[ 人工呼吸 ]

O-042
人工呼吸器MONNAL T75 PS-Proモードの使用経験

山田 和典、松本 浩伸、光家 努
高松赤十字病院 医療技術部 臨床工学課

【はじめに】
 人工呼吸器MONNAL T75には手術後の人工呼吸器ウィニング向けに設計された自動調節の換気モードとしてPS-Proモードを搭載している.PS-Proモードとは最小呼吸回数,サポート回数,目標一回換気量(以下,VTターゲット),最大吸気圧のパラメータで換気状態を監視しながら,自発の無いときは強制換気,自発呼吸がある場合は圧支持換気へと呼吸器が自動で切り換えを行い,自発の強さによりサポート圧(以下,PS圧)を呼吸器が自動で調節するモードである.このモードにより医療スタッフが換気設定を細かく変更する時間を減少させると考えられている.当院では開心術後にPS-Proモードを使用し,人工呼吸器からの離脱を経験したので報告する.

【方法】
 2018年2月から4月の間に,開心術後にPS-Proモードを使用し,人工呼吸器からのウィニングを行った10症例,平均年齢70歳を対象とした.術後ICU帰室時に術中の麻酔器での換気設定を基に,各換気設定を行い抜管までの経過を観察した.ICU挿管時間,換気設定の変更回数,変更項目,抜管時のPS圧値の調査をした.

【結果】
 ICU挿管時間は中央値516min(102~2340min),挿管中に設定変更を行った症例は5症例あり,変更項目はFiO2:4回,VTターゲット:3回,呼吸回数:3回,手動にてPS圧を下げた症例が2症例あった.抜管時のPS圧値は中央値12.5cmH2O(5~16cmH2O)であった.

【考察】
 設定変更を行わずに抜管まで行えた症例は半数の5症例あり,医療スタッフの負担軽減に繋がったと考えられた.しかし,PS-Proモードは酸素化の評価を呼吸器が自動で行わないため,それらの設定変更は必要であった.また,抜管時のPS圧値が16cmH2Oで抜管した症例や,自動でPS圧が下がらない症例には手動にてPS圧を下げて換気の評価を行い抜管した症例も経験した.PS-ProモードではVTターゲットを維持するようにPS圧を調節させるため,患者の吸気努力が少ない場合にはVTターゲットを維持するためPS圧が高くなっていると考えられる.よって,吸気努力が少ない患者に対しては,手動にてPS圧を下げて換気の評価を行う必要があると考えられた.

【まとめ】
 開心術後の患者を対象にPS-Proモードを使用し,人工呼吸器からの離脱を経験したので報告した.

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