一般演題[ 人工呼吸 ]

O-041
患者回路別における移動用電源下でのプレシジョンフロー駆動可能時間に関する比較検討

松岡 瑞季(1)、角安 香里(1)、佐藤 翔平(1)、小林 誠司(1)、緒方 良輔(1)、 小松 崇俊(1)、大西 芳明(1)、北川 哲也(2)
  1. 徳島大学病院 診療支援部 臨床工学技術部門
  2. 徳島大学病院 ME管理センター

【背景】
 周産期母子医療センター(NICU)の小児科医師から,閉鎖式保育器(インキュア アイ,ATOM社製)内の新生児患者に高流量鼻カニューラ(high-flow nasal cannula: HFNC)を装着した状況下で,CT検査室への移動時に使用できないかとの相談があったため,我々は新生児患者を想定した移動用電源下で,HFNC装置(プレシジョンフロー®,VAPOTHERM社製)の駆動可能時間を測定し,第28回日本臨床工学会(2018年5月26日,パシフィコ横浜)にて報告した.今回,成人患者を想定して移動用電源下での駆動可能時間を測定し,新生児患者における移動用電源下での駆動可能時間と比較した.

【方法】
 無停電電源装置(uninterruptible power supply: UPS)である多用途AC電源供給装置(MPS200PS-JP®,スカイネット社製)使用下で,HFNC装置の駆動可能時間を測定した.流量,FiO2は過去の使用記録から最大・平均・最低値でそれぞれ設定し,加温温度は37℃と33℃の設定で測定した.

【結果】
 今回の成人患者を想定した設定では,最大・平均・最低それぞれの流量での駆動可能時間は,加温温度33℃では2時間28分,2時間33分,2時間46分であり,加温温度37℃では2時間05分,2時間11分,2時間37分であった.前回報告した新生児患者を想定した設定では,最大・平均・最低それぞれの流量での駆動可能時間は,加温温度33℃では5時間5分,5時間15分,5時間50分であり,加温温度37℃では4時間23分,4時間24分,4時間56分であった.

【考察】
 UPS駆動下でのHFNC装着成人および新生児の院内搬送は十分可能であると考えられる.ただ,今回は供給電源のみについての検討であり,実際に使用する際には酸素や空気の消費量についても検討する必要がある.
 また,成人設定では駆動可能時間が新生児設定の約2分の1になることが示された.これは,流量が増加すると加温温度を維持するための消費電力が大きくなり,その結果駆動時間が短縮されたためと考えられる.

【結論】
 成人設定でHFNC装着患者の移動用電源使用下での搬送を想定した試験を行い,搬送に耐えうる駆動可能時間を測定できた.

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