一般演題[ 人工呼吸 ]

O-038
人工鼻回路から加温・加湿器回路への変更時に発見した吸気弁異常の検討

田坂 浩樹(1)、近田 優介(2)、林 昌晃(2)、森西 啓介(2)、野田 康裕(2)、 大西 芳明(2)、北川 哲也(3)
  1. 徳島大学病院 診療支援部 臨床工学技術部門
  2. 徳島大学病院 臨床工学技術部門,ME管理センター
  3. 徳島大学病院 ME管理センター科

【背景】
 当院救急集中治療部では成人患者への人工呼吸管理中の加温・加湿装置は人工鼻を第一選択としている.加湿不足や二酸化炭素の貯留などが見られた場合,加温・加湿器への変更はベッドサイドで実施している.今回,加温・加湿器回路への変更時に人工呼吸器Puritan Bennett™840 (以下,PB840)の吸気弁異常を発見したので報告する.

【事例】
 PB840で人工呼吸管理中,二酸化炭素貯留のため加温・加湿器回路に変更し, Short Self Test (以下,SST)施行中,フローセンサテストでエラーが発生し,数回SSTを施行したが通過しなかったため,本体を交換した.原因究明の為,Extended Self Test(以下,EST)施行後のSST及び使用前点検も問題なく通過した為,臨床使用可能と判断した.しかし,同人工呼吸器で同事例が数回発生した為,SST不通過直後にESTを施行するとFlow Sensor Cross Checkにて,吸気弁であるProportional Solenoid Valve(以下,PSOL)のエラー(FE0102,FE0104)が発生した. PSOLの電流値がO₂流量20,60 L/min,Air流量1 L/minで許容値より2.3,3.14,2.12 mA逸脱していた為,PSOLの異常と判断しメーカに修理を依頼した.

【考察】
 PSOLは内部の電磁石に電流を流すことで開閉度を調節し吸気流量,一回換気量,酸素濃度等を制御している.メーカが再現したところ,しばらく稼働した後,SST/ESTを施行すると同エラーが発生した.稼働停止後に時間を置き,再度試験を行ったところSST/ESTは通過した.通常,人工呼吸器を稼働させると安全弁,PSOL,基盤,フローセンサ等に熱を持ち人工呼吸器内の温度が上昇する.PSOLは熱を持つと抵抗値,電流値が変化する事を考慮して設計されている.今回PSOLの異常により熱を持つと電流値が基準を逸脱し,放熱されると正常値に戻ることが分かった.PSOL交換後,不具合は発生しなくなった.

【結語】
 加温・加湿器回路への変更時,人工呼吸器の吸気弁の異常をきたした原因は,吸気弁が熱を持つことにより,電流値が基準値を逸脱したことが要因と推察された.今後,同事例が発生した際,迅速な対応が取れるよう取り組んでいきたい. 

CLOSE
© 2018 第8回中四国臨床工学会. All Rights Reserved.
Produced by オンライン演題登録システム・査読システム|演題登録.com|