一般演題[ 血液透析(清浄化・HDF)]
O-033
透析液測定用常用参照標準物質を用いた透析液測定装置の検証
若狭 舞、山本 英則、大海 庸世
おおうみクリニック
【目的】
透析液濃度測定の標準化を目的に,透析液濃度を測定する装置に対し認証指針が策定された.認証には透析液測定用常用参照標準物質(標準物質)で装置を校正し,標準物質を測定した値が一定の範囲内である必要がある.そこで,当院で使用している認証されたISE付き血液ガス分析装置で標準物質を測定し認証値と比較した.
【対象と方法】
使用した認証装置はラジオメータ社のISE付き血液ガス分析装置ABL-90 FLEX(ABL-90)で,検査医学標準物質機構が作成した標準物質6セット測定した.測定は血液を測定するための通常モードと,酢酸系透析液のモードとクエン酸系透析液モードで測定し,両者の比較および標準物質の認証値との比較をした.
【結果】
酢酸系の透析液モードでは通常モードと比較して,Na,Clが中濃度,高濃度ともに3~5mmol/Lほど高く,その他の項目ではほぼ同じ値が得られていた.透析液モードで表示された値は,pCO2を除き認証値と同等の値が得られ,認証値に対し0.1~0.8%の範囲内だった.測定値のバラツキの指標となる変動係数(CV値)は0.9%以下だった.しかし,クエン酸系では透析液モードで表示された値は,NaとKについてはほぼ同等の値が得られていたが,重炭酸イオンとClの中濃度では認証値との間に少し差が認められ,拡張不確かさの範囲を超えていた.
【考察】
酢酸系では認証値との間に差がなく,高い再現性が確認できたことから,装置は適正に校正されていると思われた.また,装置の認証に用いたロットとは別ロットの標準物質で再現性が得られたことから,この標準物質は信頼性の高い透析液用の標準物質と思われた.
【結論】
ABL-90の酢酸系の透析液モードには,適正な補正式が入力されていることが確認できた.また,酢酸系の標準物質は信頼性の高い透析液用標準物質であるが,クエン酸系の標準物質には問題が残る.
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