一般演題[ 血液透析(清浄化・HDF)]
O-032
個人用透析装置の透析液清浄化に向けた取り組み
~逆浸透(RO)水供給配管の簡易な薬液洗浄方法の考案と効果~
三宅 智香、安藤 誠、隅中 智太、森 拓人、物部 麻衣子、連仏 治幸、藤井 佑希、藤井 貴乃、横田 耕次、香西 功丈
公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 臨床工学部
【はじめに】
当院はこれまで,逆浸透(RO)水処理装置のRO水タンク,RO水供給配管の幹管及び個人用透析装置までの枝管の薬液洗浄を月に1回,休日に半日かけて実施していた.2013年にRO水処理装置を更新した後は,RO水供給配管の自動洗浄の実施に伴い,枝管の薬液洗浄を取りやめていた.しかし,その後,個人用透析装置のエンドトキシン補足フィルタ(ETRF)前の透析液中の生菌数が徐々に上昇を認めたため,RO水枝管の清浄化対策が必要となった.そこで,個人用透析装置までのRO水枝管を簡便に洗浄する方法を考案し,その効果を検討した.
【方法】
個人用透析装置の中で透析液の生菌数が最も高い1台を対象とし,週末の最終治療実施後(土曜日)に下記の1)~3)の手順でRO水枝管の薬液洗浄を実施した.
1)個人用透析装置のRO水供給ラインに設置している消毒用モーターバルブに付属した枝管のバルブを開放し,RO水で配管を水洗する.
2)枝管より次亜塩素酸Na系洗浄剤eco200(アムテック社製)600ppmを流入させ,バルブを閉鎖し,1時間充填する.
3)充填後, RO水洗浄30分,eco200(330ppm)による薬液洗浄を40分実施し,翌週の治療開始前(月曜日)のRO水洗浄工程まで封入する.
洗浄を行った翌週の治療開始前に,個人用透析装置のETRF前の透析液を採取し,生菌測定を行い洗浄効果の確認を行った.測定結果に応じてRO水枝管の洗浄を繰り返し,生菌数の推移を観察した.
【結果】
洗浄前の生菌数は6.34CFU/mLであった.洗浄翌週月曜日の生菌数は1.26CFU/mLへ低下し,その翌週には0.48CFU/mLとさらに低下を認めた.再度同様の方法で洗浄を行い,洗浄後には0.10CFU/mLまで低減した.
【考察】
当院のRO水処理装置の自動洗浄では,RO水枝管に設置している消毒用モーターバルブと個人用透析装置との間にわずかな未洗浄部分が存在しており,その部分が透析液の生菌数上昇の原因であると考えられた.本洗浄方法を用いることにより透析液の生菌数は著明に低下を認め,RO水供給配管の未消毒部分の薬液洗浄が個人用透析装置の透析液清浄化に有効であることが確認された.本洗浄方法は,RO水処理装置を停止させることなく,90分程度の比較的短時間で実施できる薬液洗浄方法であり,スタッフの業務の負担軽減にも有効であった.
【結語】
今回考案した洗浄方法は,個人用透析装置のRO水供給配管の未洗浄部分を簡易に薬液洗浄することが可能であり,透析液清浄化に有用であった.
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