一般演題[ 手術関連 ]

O-030
自己血回収装置XTRA使用時の異音対策について

前田 裕介、今久保 一洋、野村 吉徳、奥田 新之介、武島 智隆
高知大学医学部附属病院 臨床工学部

【はじめに】
 当院は2015年よりリヴァノヴァ社製自己血回収装置XTRAを導入し使用している.血液充填処理の工程で遠心分離ボウル部から異音が発生することがあり,メーカーの点検修理を実施したが改善されなかった.今回,異音の対策として5×5×1 mmのポリウレタン製粘着ゲルシート(粘着ゲルシート)を回転プレートに貼ることより異音を低減できると考えた.貼付前と貼付後での騒音レベルの測定を比較検討したので報告する.

【方法】
 手術室は心臓手術環境を模擬し,装置は実際に使用する配置とした.回路はPROCEDURE SET遠心ボウル125 mLタイプを用いた.粘着ゲルシートは回転プレートの中心部から3 cm離した3箇所へ等間隔に貼付した.騒音レベルの測定は,リオン社製NL-26騒音計を用い,リザーバーに水を溜め,遠心分離ボウルが回転を始めたと同時に開始した.装置前面より50 cm離れた場所(装置前面),および装置後面より200 cm離れた手術台(手術台)の2箇所にて測定した.測定は貼付前と貼付後でそれぞれ5回行い平均値を算出した.

【結果】
 装置前面では,貼付前72.96 dB,貼付後59.98 dBであり,手術台では,貼付前60.94 dB,貼付後57.64 dBであった.粘着ゲルシートの貼付後は明らかに消音効果が得られた.

【考察】
 異音の原因は,遠心分離ボウルにおけるスティックスリップ現象と考えており,人間の耳には高音として捉えられる音である.音量の単位デシベル(dB)は,6 dB下がることで音量が半分として感じとれるため,今回の-12.98 dBの消音効果は大きいといえる.術中に不定期に発生する異音は,不快であったが,粘着ゲルシートの貼付によって消音できた.しかし,使用回数が増すと,遠心力により粘着ゲルシートにズレが生じ,異音を再び発生させるため,一定の期間で保守が必要であった.

【結語】
 遠心分離ボウルから発生する異音は,粘着ゲルシートを用いることで消音効果を数値として明らかとした.  今後は,粘着ゲルシートを貼付する枚数や位置などによる騒音レベルの変化について調べていきたい.

CLOSE
© 2018 第8回中四国臨床工学会. All Rights Reserved.
Produced by オンライン演題登録システム・査読システム|演題登録.com|