一般演題[ 手術関連 ]

O-027
術中神経モニタリングにおける術前スクリーニング検査の重要性

頭師 哲矢、松本 恵子、坂上 奈美子、石川 浩太、近藤 健佑、福岡 和秀
三豊総合病院 臨床工学科

【はじめに】
 術中神経モニタリングは,手術による神経機能障害の回避において必要不可欠となっている.術中神経モニタリングを正確に行うには術前スクリーニング検査(以下 術前検査)が重要である.

【背景】
 当院における術中神経モニタリングの主な測定項目は運動誘発電位(以下 MEP),体性感覚誘発電位(以下 SEP),聴性脳幹反応(以下 ABR)である.これまでは理学療法士のみで術前検査を行っていたが,2018年より臨床工学技士(以下 CE)も術前検査に立ち会うこととなった.

【術前検査方法】
 術前検査は筋電図室にて術中神経モニタリング項目に準じて行った.MEP・SEP,ABR測定は日本光電社製筋電図誘発電位検査装置MEB-2306を使用し,神経刺激はミユキ技研社製磁気刺激装置マグスティム200を使用した.事前にMEPを測定することで麻痺による潜時の延長や運動野の偏在,腫瘍症例での反応波を確認して電極設置位置にマーキングを行った.SEPでは感覚神経の伝導遅延や反応波の大きさを確認し,MEP同様にマーキングを行った.ABRを測定する症例では難聴によって生じる潜時の延長より聴力を確認した.

【結果】
 MMT(徒手筋力検査)3以下ではMEPが出現しない可能性があるが,術前検査で事前に確認することができた.手術の体位によって電極の設置位置に戸惑うことも多かったがマーキングしたことで電極設置位置が明確になり波形の検出率は飛躍的に向上した.また,頭部の3点ピンの固定位置や動脈ラインの穿刺部位と干渉せずに電極設置可能となった.各測定項目の情報を事前に収集しておくことで患者別にアラームポイントの目安を把握することができ,モニタリングを正確に行うことができた.

【考察】
 術中に神経刺激装置を操作するCEが術前検査に立会い,患者の状態を把握しておくことで術中の予測ができ迅速かつ安全に対応できると考える.術前検査にてマーキングしたことで,電極設置をスムーズに行うことができた.また,波形導出が可能な位置をマーキングして明らかにしておくことで,万が一術中に導出不能となった場合にでも,電極の位置不良を原因から排除することができる.そして,術前検査の結果をもとに執刀医と連携することで術者の安心感にも繋がると考えられる.

【結語】
 安全かつ正確なモニタリングを行うためには,術前検査で事前に患者状態を把握しておくことが重要である.

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