一般演題[ 手術関連 ]
O-024
脳血管治療におけるdoor-to-puncture短縮への試み
藤森 亘(1)、濱野 真隆(1)、田口 未来(1)、中野 あや(1)、武内 雅志(1)、
野村 栄一(2)、姫野 隆洋(2)
- 社会医療法人 祥和会 脳神経センター 大田記念病院 臨床工学課
- 社会医療法人 祥和会 脳神経センター 大田記念病院 脳神経内科
【はじめに】
当院の臨床工学技士(以下CE)は,心臓カテーテル業務だけでなく,脳血管内治療業務に対しても,医療チームの一員として関与している.欧米の脳血管内治療ガイドライン(2013)によると,脳血管内治療において来院から穿刺までの時間(door to puncture:以下D2P)の時間を120分以下にすることが望ましいとされている.今回,当院でのD2P短縮の取り組みとCEの関わりについて報告する.
【D2P短縮への取り組み】
当院では2017年9月からD2Pを60分以内にすることを目標とし,院内全体のチーム連携を強化することとした.まず,来院から脳血管内治療開始までに関わるすべてのスタッフ(医師,看護師,放射線技師,CE)を対象に,治療までのシミュレーションを定期的に実施した.また,院内全体でD2P短縮の意識を高めるために,電子カルテ上に患者の来院時間から現在の時間までを確認できる「Door-to-timer」を掲示した.
【CEの関わり】
脳血管内治療においてCEは清潔野での補助業務を行っており,勤務時間帯だけでなく24時間拘束体制で対応している.夜間・休日の緊急治療時には,救急看護師から連絡があり,30分以内に出勤し手術の準備,術中の清潔補助などの対応を行っている.
【結果と考察】
緊急の脳血管内治療においてD2P短縮の取り組みを行う前後で,D2Pの比較を行った.取り組みを行う前(2014年1月~2017年8月)の126例と,取り組み後(2017年9月~2018年3月)の21例でD2Pを比較すると,前者が平均86分,後者が70分となり,16分の短縮ができた(P=0.003).また,CEが関わる入室から穿刺までの時間の比較を行うと,取り組み前の時間は平均14分59秒であったのに対し,取り組み後は12分45秒と2分以上短縮された(P=0.081).取り組み前は患者入室後に清潔野の展開を行っていたが,取り組み後は患者入室前から清潔野の展開を行うようになったことが要因として挙げられる.
【結語】
今回の取り組みで,D2Pを短縮することができたが,目標である60分以内には到達出来なかった.清潔野に入るCEは,穿刺までの時間だけではなく,穿刺から再開通までの時間をどれだけ短縮出来ることを考える必要があるため,医師業務を積極的に補助出来るような体制作りをしていくのが今後の課題である.
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