一般演題[ 手術関連 ]

O-023
ロボット支援手術における臨床工学技士非常駐化への取り組み

岡部 有香(1)、古川 英伸(1)、松上 紘生(1)、杉原 瑠美(1)、市谷 聡(1)
南 ゆかり(1)(2)、稲垣 喜三(1)(3)
  1. 鳥取大学医学部附属病院 MEセンター
  2. 鳥取大学医学部附属病院 高次集中治療部
  3. 鳥取大学医学部附属病院 器官制御外科学講座麻酔・集中治療医学

【背景】
 当院では,2010年8月よりda Vinci Sの導入と同時に,外科医,麻酔科医,看護師,臨床工学技士,事務部で構成される低侵襲外科センターを設置し,4診療科で6術式を承認し,ロボット支援手術を開始した.その後da Vinci Siへの更新を経て,2018年4月時点で5診療科,15術式が行われ,773例の手術をチームで行ってきている.
 そのなかで,臨床工学技士の効率的な運用のため,手術場内の常駐を無くし適宜対応とする取り組みを開始したので,その経緯を交え報告する.

【従来のロボット支援業務】
 全術式で臨床工学技士が手術場内に常駐し,機器の準備・片付け,映像・記録の管理,周辺機器の操作・管理,トラブル対応,シミュレーターの運用などを行い,トラブル事例を集計し,定期的にカンファレンスや運営委員会等で医師や看護師などに報告し,情報共有を図ってきた.

【非常駐化への取り組み】
 症例経験が多い術式では,臨床工学技士の介入が必要なトラブルが減少していることを確認し,外科医,麻酔科医,看護師の意見を参考に,臨床工学技士の非常駐化条件をまとめ,低侵襲外科センター運営委員会で議論し,保険収載され,十分に経験を積んだ症例に関しては非常駐化へ移行することが決まった.
 非常駐化することで,周辺機器の操作を看護師が行うことになるため,看護師の動線を考え,機器の配置を変更した.
 また,ロボット支援担当の臨床工学技士は,即時対応ができる点検業務などを行うようにしている.現在では,RARPで非常駐が行われており,36例経過しており,臨床工学技士が呼ばれるトラブルは11例であったものの,手術は円滑に行えている.

【考察】
 今後さらにロボット支援手術が増加することが予想されるなか,安全な手術の遂行のために臨床工学技士の関わり方については十分な検討が必要である.同時に,限られた人材の有効活用も重要となる.
 今回の円滑な非常駐化の取り組みがスムーズに進んでいる要因は,チームの理解とマイナーなものを含むトラブル事例の共有があると考える.トラブルを詳細に集計し,解析結果を定期的に医師や看護師と共有することは,他の業務でも重要であり,今後新たに導入する技術でも有用であると考えている.

【結語】
 ロボット支援手術は,十分なトラブルの集計と検証,情報共有,チームの理解と協力により,一般内視鏡手術として行える.

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