一般演題[ ME機器(安全対策)]

O-017
間欠的空気圧迫装置の中央管理化を経験して

原 有里、豊田 英治、岩戸 大征、中川 章平、長尾 和昌、野口 友希、佐原 浩子、田村 公一
徳島市民病院 診療部 臨床工学室

【背景】
 静脈血栓塞栓症(以下VTE)予防に,理学的予防法である間欠的空気圧迫法が有効とされており,当院においても周術期や長期臥床患者に対し間欠的空気圧迫装置(以下IPC)が使用されている.IPCの運用や管理は使用部署に任されていたが,資源の有効利用や医療安全面から中央管理を行うことになった.今回,中央管理確立までの経過とその結果について報告する.

【経過】
 これまで,IPCは手術室,HCU,病棟とそれぞれに異なる機種が固定設置され,患者は部署を移動する度毎に異なるIPCを使用し,それに応じたフットカフが着脱されていた.フットカフは部署別に管理が行われており,一人の患者が複数のフットカフを使用し再使用も行われていた.病棟間でもIPCの貸し借りがあり,運用状況は把握できていなかった.2018年5月からMEセンターにおいてIPCの中央管理化を開始,3機種あったIPCは1機種に統一された.MEセンターでは,ME機器管理システムを用いて,台数と配置部署を把握し,保守点検業務を行うことになった.

【結果】
 ME機器管理システムでの中央管理により,他の医療機器と同様にIPCの管理・運用が可能となった.使用時の不具合やトラブル対応は,修理記録として残されメンテナンス情報の検索や共有化が容易となった.中央管理を行うことで,機器の稼働率は上昇し,保守点検も確実となった.IPCとフットカフは患者が手術室からHCU,病棟へ移動しても同一のものを装着し,同一医療行為においては「1患者に対し1消耗品」の運用ができるようになった.

【考察】
 MEセンターから手術室,HCU,病棟とIPCが患者と共に移動することで,患者1人に対し1装置としてフットカフの着脱なく継続使用されるため,VTE予防の有効性も高まると考えられる.ME機器管理システムでIPCを管理することで,運用状況や効率,メンテナンス状況が把握でき,機器のスムーズな更新や購入に繋がっている.フットカフの完全単回使用化は,使用実数に応じるため購入費用の増加が懸念された.しかし,3機種から1機種としたことで,購入に対する交渉力ともなり単価を抑えた総調達額にすることができ,経営面でのデメリットとはならなかった.

【結語】
 IPCの中央管理を行ったことで, MEセンター内で運用状況の把握,保守点検の実施が可能となり,フットカフの完全単回使用化を実現することができた.

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