一般演題[ ME機器(安全対策)]

O-016
手動式肺人工蘇生器の中央管理における臨床工学技士の役割

佐藤 翔平(1)、小松 崇俊(1)、小林 誠司(1)、緒方 良輔(1)、角 安香里(1)
松岡 瑞季(1)、大西 芳明(1)、北川 哲也(2)
  1. 徳島大学病院 診療支援部 臨床工学技術部門
  2. 徳島大学病院 ME管理センター

【はじめに】
 当院ME管理センターでは,心肺脳蘇生時及び呼吸不全患者の搬送時など,各部署(病棟,外来棟,中央診療部門)で使用されている再使用可能な手動式肺人工蘇生器(Bag valve mask,以下BVM)の中央管理を行っている.各部署に設置されている救急カート内にBVMが保管され,使用されたBVMは物流センターにおいて,分解・洗浄・消毒・滅菌が行われ,ME管理センター担当の臨床工学技士により,BVMの使用前点検(部品チェック,組み立て,動作点検等)を実施し,貸出している.感染制御の観点から,未使用のBVMは6ヵ月経過すると回収し,再び洗浄・消毒・滅菌及び使用前点検を実施している.

【目的】
 ME管理センターで実施しているBVMの使用前点検及び破損・紛失状況について調査を行い,各部署に配置されているBVMが6ヵ月以上,使用期限が経過していないか現場調査を実施し,臨床工学技士の役割について検討した.

【方法】
 BVMの使用前点検及び破損・紛失状況については,2017年度の保守点検管理表を用いて後ろ向き調査を行った.2017年12月~2018年3月,各部署における使用期限切れのBVMについて調査を行った.

【結果】
 2017年度におけるBVMの使用前点検は379件であり,破損・紛失件数は12件(酸素リザーバ弁の蓋の破損,紛失:5件,成人用マスクの紛失:4件,蘇生用シリコン呼気弁の紛失:2件,蘇生用バッグのOリング紛失:1件),発生率は3.2%であった.各部署の救急カート内に設置されているBVMは78個であり,使用期限切れ及び滅菌バックが破損し,曝露されている可能性のあるBVMを11個(14%)発見し,適時,使用前点検済みのBVMに交換した.

【考察】
 臨床工学技士によるBVMの使用前点検を実施したことにより,BVMの破損部品・不足部品の交換ができ,BVMのトラブル事例(不足部品,組み立て間違い等)を未然に防止できたと考えられる.BVMの現場調査時,BVMの使用期限切れが発生しないように注意喚起を行ったが,再度,BVMの現場調査を実施する必要性があると思われた.

【結語】
 再使用可能な手動式肺人工蘇生器の中央管理における臨床工学技士の役割について検討した.今後とも,臨床工学技士として,安全で安心できるBVMを安定供給していきたい.

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