一般演題[ 学生・研究 ]

O-015
ダクト系における穴あき板の穴の長さが音響固有周波数へ及ぼす影響に関する研究

片岡 賢渡、石原 国彦
徳島文理大学 保険福祉学部 臨床工学科

【はじめに】
 病院は静粛性が要求される場所が多い.一般病室では昼間50dB(A),夜間40dB以下が望ましいとされている.しかし病室にはエアコンのダクトがあり,そこから音が漏れる場合がある.したがって何らかの防音対策が必要である.一般にダクト騒音を低減させるにはダクト壁面に吸音材を貼付けたいわゆる吸音ダクトが用いられる.しかし吸音材が飛散するなどの問題が生ずる.そこで本研究では多孔質吸音材を用いない新たな吸音材として穴あき板を用いることの有用性について検討する.
 穴あき板の吸音性能については別途報告するとして本研究では穴あき板がダクト系の音響固有周波数へ及ぼす影響について検討する.

【方法】
 全長834mm,ダクト断面200mm×200mm,肉厚5mmのアクリル板で作られたダクトを用い,穴あき板の設置位置を左から334mm,434mm,634mmとした3ケースにつき,開口率が1%,4%,16%の3種類の穴あき板について実験を行った.ダクト左端からスピーカでランダム音を出し,ダクト左端から300mmの位置に設置したマイクロホンで音を計測し,FFT分析してピーク周波数を求めた.このピーク周波数がダクト系の音響固有周波数である.

【結果と考察】
 次のような実験結果が得られた.
(1) 穴の長さが長いほど音響固有周波数は低下する.
(2) 開口率が小さいほど音響固有周波数は低下する.
(3) 穴あき板の設置位置と音響固有周波数の変化には関係がある.すなわち粒子速度モードの節に穴あき板を設置しても音響固有周波数は変化しないが,腹に置くと大きく変化する.

(1) については穴の音響インピーダンスが長さに比例して大きくなることから,音響固有周波数に影響する音響インピーダンスの虚部も大きくなり,その結果穴部の質量の慣性効果が大きくなるため音響固有周波数が低下したと考えられる.
(2) についてはすでに報告したとおり,開口率が小さくなると音響抵抗が増加するため,(19の説明と同様,穴部の質量の慣性のため音響固有周波数が低下すると説明できる.
(3) については粒子速度モードの節では粒子の振動がないので,そこへ穴あき板を設置しても穴あき板に粒子が影響を与えないので,音響固有周波数が変化しないのは妥当である.一方腹,ここでは粒子の振動が最も大きい,に置かれた場合は粒子が穴あき板に影響を与えるので低下するのも妥当である.

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