一般演題[ 学生・研究 ]

O-014
穴あき板の減衰特性の評価に関する研究

勝又 秋穂、石原 国彦
徳島文理大学 保険福祉学部 臨床工学科

【はじめに】
 病院は静粛性が要求される場所が多い.一般病室では昼間50dB(A),夜間40dB以下が望ましいとされている.しかしながら病室にはエアコンのダクトがあり,そこから音が漏れる場合がある.一般にダクト騒音を低減させるにはダクト壁面に吸音材を貼付けた,いわゆる吸音ダクトが用いられる.吸音材は主にグラスウールなどの多孔質吸音材が用いられるが,ダクト内部に流れがあると,吸音材が飛散するなどの問題が生ずる.そこで本研究では多孔質吸音材を用いない新たな吸音材として穴あき板を用いることの有用性について検討する.穴あき板の吸音性能については開口率と音圧レベルの関係を明らかにしたものがある .しかしながらその研究では吸音性能を定量的に音響減衰比などで示してはいない.この音響減衰比はダクトと穴あき板を組み合わせた音響系として決定されるものである.また音が大きくなる周波数はダクト系の共鳴周波数であるので,共鳴周波数に対応する共鳴モードと穴あき板の設置位置も重要な実験パラメータとなる.さらに穴の長さも音響減衰比に関係があると考えられる.以上のことからここでは穴あき板の開口率,穴の長さ,設置位置が音響減衰比に及ぼす影響について検討する.

【方法】
 全長834mm,ダクト断面200mm×200mm,肉厚5mmのアクリル板で作られたダクトを用い,穴あき板の設置位置を左から334mm,434mm,634mmとした3ケースにつき,開口率が1%,4%,16%の3種類の穴あき板について実験を行った.ダクト左端からスピーカでランダム音を出し,ダクト左端から300mmの位置に設置したマイクロホンで音を計測し,FFT分析してピーク周波数と半値幅による音響減衰比を求めた.

【結果と考察】
 次のような実験結果が得られた.
(1) 穴の長さが長いほど音響減衰比は大きくなる.
(2) 開口率が小さいほど音響減衰は大きい.
(3) 穴あき板の設置位置とモード減衰比は関係がある.

 (1)は穴の長さが長いと音響抵抗が増加することから妥当な結果である.(2)は開口率が小さいとこれも音響抵抗が増加するので妥当な結果である.(3)もモードの腹に穴あき板を置くと減衰比が大きくなり,節に置くと穴あき板の存在がなくなることから妥当である.

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