一般演題[ 学生・研究 ]
O-012
医療画像ステガノグラフィによるステゴ画像の劣化度評価
武智 成美
徳島文理大学 保健福祉学部 臨床工学科
【はじめに】
医療現場において,MRI画像やCT画像などの医療画像が使われている.これらの医療画像に医師のコメントや注目する箇所などが記載されていれば患者への説明や医師の助けになる.しかし,画像上に直接データを書き込むと元の画像が劣化し判定が困難になる.また3次元モデリングに画像が使用できなくなるため治療計画に影響が生じる.本研究では画像ステガノグラフィを用いてカバー画像であるCT画像に医療情報を見た目には画像が変化しないよう書き込む.このときのCT画像の劣化度について評価したので報告する.
【方法】
医療情報を医療画像に書き込む方法について述べる.カバーデータの最下ビット面(LSB)と下から2層目,3層目と医療情報を埋め込みステゴ画像を作成した.データの埋め込み方法として,データを散らばせたり,ある規則で埋め込んだりする方法が研究されているが,本研究では順番に書き込んでいく方法を採用した. 即ち,データは暗号化せずに画像ビット面にデータを順に書き込む.文字を書き込む場合,1文字は8ビットなので,512×512の画像では512*512/8=32768文字を隠せる.一方,カバーデータからテキストデータを取り出す場合は情報をハイディングしたビット面を選択し,書き込んだビットデータを取り出しASCIIに変換する.次に医療情報を埋め込む前のカバーデータに対するステゴ画像の劣化度をピーク信号対雑音比(PSNR)で評価した. これはカバーデータに対する色諧調の変化を示しておりPSNRが低下すると画像が劣化したことを示す. PSNR値の標準的な値は30~50dBとされている.
【結果と考察】
カバーデータは,DICOMフォーマットのCT画像である.ハイディングする医療情報は骨の輪郭抽出図,筋電図などの画像とテキストデータを使用した.LSBではPSNR は50dB程度であり劣化はなかった.しかし,LSBから上の層までに画像を埋め込むにつれてPSNRの値は低下した.画像も見た目で劣化しているのが認められた.また,濃淡の変化が多いカバー画像では劣化が目立ちにくいことが分かった.
【結論】
医療画像へ医療情報を書き込んだときのカバー画像の劣化度合いについて評価した.LSBでは画像は劣化しないが,それ以上の層に埋め込む場合はPSNRが40dB程度を目安にするのがよいと考える.
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