一般演題[ 学生・研究 ]

O-010
ローラポンプに取り付けた加速度センサによるキャビテーション検知手法の検討

北澤 涼、本多 弘明、筒井 駿介
大阪滋慶学園 出雲医療看護専門学校 臨床工学技士学科

【はじめに】
 臨床工学技士の業務の一つに体外循環業務があるが,体外循環業務で注意しなければならない問題の一つにキャビテーションの発生がある.キャビテーションはマイクロバブルを発生させ,マイクロバブルが体内に入ると空気塞栓を起こすなど体に悪影響を与える.しかし,キャビテーション発生の検知方法は目視などの主観的な判断が主で,客観的で定量的な判定はなされていない.よって本研究では,キャビテーションの発生自体を客観的で定量的な基準で判定する方法を検討した.

【目的】
 ローラポンプ上部に加速度センサを取り付け,ポンプの振動の大小によってキャビテーションの発生を検知する方法を検討することを目的とした.

【方法】
 ローラポンプ,チューブ(3/8 inch),加速度センサ,鉗子,流量計,圧力センサ,リザーバを使用し,回路を作成した.作成した回路内を水で満たし,回転数150~250rpmでポンプを回転させ,入口圧力,出口圧力,流量,ポンプの振動を測定する.その後,鉗子を使いチューブをクランプし,キャビテーションの発生を確認した後,入口圧力,出口圧力,流量,ポンプの加速度信号を測定した.その際,加速度センサで測定したキャビテーション非発生時と発生時のポンプの加速度信号を計測し,信号処理としてRMS解析とFFT解析を行った.

【結果】
 ポンプ入口側を鉗子によってクランプさせることによって,キャビテーションの発生による気泡を確認することができた.また,ポンプや回路の振動,騒音,異音の発生も確認した.RMS解析では,キャビテーション非発生のRMS(ポンプの振幅における平均的な大きさ)の値よりキャビテーションの発生時のRMSの値の方が大きい結果になった.FFT解析では,キャビテーション非発生時とキャビテーション発生時を比べると,キャビテーション発生時の方がパワーのピークの値が大きく出ていることがわかった.

【まとめ】
 本研究で取得した加速度信号の解析を行った結果,RMS解析においては,キャビテーションの発生でRMSの値の増加がみられた.このことから,ポンプの加速度信号をRMS解析することによりキャビテーションを発生・検知できることが分かった.しかし,加速度センサの取り付け方法や回転数・流量・リザーバの高さの影響,および別のローラポンプを使用した加速度の測定などの検討が必要である.

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