一般演題[ 血液透析(患者管理)]

O-009
透析室の災害対策を再考して

下島 忠、藤松 祐輔、鴨木 健作
安来市立病院 臨床工学室

【はじめに】
 透析治療は災害の影響を受けやすく,危機に対応できるよう検討していくことが必要である.当院透析室では開設当初に作成した災害対策を再考し,①防災マニュアルの見直し,②各災害に対応できる職場環境の改善,③患者教育の導入,について検討したので報告する.

【方法】
① 災害発生時の行動基準を改定し,アクションカードを導入した.また離脱方法を見直し,手技の統一を行った.その後透析室にて避難訓練を実施し,参加スタッフへのアンケートを行った.
② 棚にある物品や避難経路の整理と,消火器・非常ベル・医療ガスバルブの位置を再確認した.
③ 年に一度災害について患者への説明会を開催し,毎月15日には災害伝言ダイヤルの訓練を実施した.災害時に患者の安否を確認する連絡表を作成するため,連絡優先順位を家族と検討してもらい,透析室独自の災害時緊急連絡表を作成した.

【結果】
① 訓練の結果,アクションカードの導入は問題なかったが,指示の一元化により連絡先が多く,現場が指示を受けるまでに時間を要した.離脱についてはスタッフ間で手技が統一されており問題はなかった.
② 棚にある物品が落下した時の危険性など,職場環境を改善するきっかけとなったこと,消火器・非常ベル・医療ガスバルブの位置を再確認できたことは成果であった.
③ 災害に対する認識や患者及び家族の意識が変わり,災害について話し合ったとの声も聞かれたため,患者教育に一定の評価が得られた.災害時緊急連絡表は各曜日別に全患者分を作成した.

【考察】
① 迅速・安全に避難するためにアクションカードの導入は効果的であったが,指示の一元化が問題であったため記載内容の見直しが必要と感じた.離脱時間短縮を図るため,日常の手技に対する心がけが必要と考える.
② 各災害に対し,迅速な行動ができるよう整理整頓を怠らない.
③ 災害対策の情報がインターネット上で簡単に入手できる時代に,説明会にて情報をはじめて知った事を聞くと,当院の患者層は普段紙面にて情報を得ていることが考えられる.

 今後の課題として,アクションカードの見直し,職場環境整備,高齢者にも分かりやすい患者教育を定期的に継続して行う事だと思う.

【結論】
 施設相応の災害対策として,Plan(計画を立てる)Do(実行する)Check(評価する)Action(改善する)を継続していくことが重要である.

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