一般演題[ 血液透析(患者管理)]

O-008
高反発素材を用いた比嘉式マッサージ施術

門田 明正(1)、安達 信俊(1)、竹内 綾亮(1)、松島 昌代(1)、柴田 大明(2)
  1. 柴田病院 透析室
  2. 柴田病院 病院長

【背景】
 近年透析患者のフットケア施術の技術開発が注目されている.透析患者は高齢化,それだけでADLの低下が起こるが,PTAを必要とする血管,糖尿病ベースのニューロパチー,閉塞性動脈硬化(ASO)や,『骨・関節・筋肉・腱,リンパ節の炎症等,真菌,細菌,ウイルス感染など多くのADL低下の要因がある.

【目的】
 当院では寝たきり状態の透析患者が多く,さらに糖尿病,ASO,圧迫褥瘡等,合併症発症のリスクを併せ持つ.また,臥位での保持が必要とされる為,寝たきり状態にある透析患者には辛い時間となる.苦痛緩和の為に,看護師,臨床工学技士の協力のもと,ADL評価を行い,透析中にもできうる持続可能な援助行為として足浴+フットマッサージを併用したフットアを報告した.ただ施術には経験値と能力の差があり均等に技術提供することは困難であった.それで今回は熟練者と初心者で差が無くなる高反発素材を用いてその有効性を検討した.

【方法】
 対象,糖尿病性腎症の患者でABI~0.7以下,SPP30以下の患者に,透析中フットケアとして高反発素材を用いた比嘉式マッサージを行い.評価はSPP数値の変化で判定する.

【結果】
症例①
糖尿病性腎症,日常生活自立度Cランク自立度3A~Bランク SPP値30以下(2ヶ月継続)施術後1ヶ月SPP 値50mmg前後,第2趾創面の組織沈着と疼痛が軽減し,SPP値も改善した.
症例②
糖尿病性腎症,右足ASOにより切除, SPP値30以下(2ヶ月継続)右足拇趾に高度の循環障害,1ヶ月後SPP値45mmg前後,拇趾の疼痛は多少軽減.爪の部位の組織改善と下肢全体の色調と共にSPP値も改善した. 患者評価では,移乗時の痛みが無くなったことが注目される.SPPは前回臨床報告では透析中,低下傾向を示したが,高反発素材を用いたフットケアでは上昇傾向を示した.

【結語】
 前回の報告では,高炭酸足浴と比嘉式マッサージ併用は皮下の循環を改善する効果が示唆された.しかし,施術者の技術能力によりその効果に差異が生じた.今回高反発素材を利用した施術では,誰でも簡単に施術が行われ,筋膜リリースが出現しやすくなり治療効果も高くなった.特にASOの透析患者のフットケア施術には著効であった.

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