一般演題[ 血液透析(患者管理)]

O-001
標準化蛋白異化率は入院透析患者に有用な指標となりえるか?

輪内 敬三(1)、末丸 直子(2)、池田 四葉(3)、奥新 小百合(1)
  1. 医療法人社団光仁会 フェニックスクリニック 看護部
  2. 医療法人社団光仁会 梶川病院 内科
  3. 医療法人社団明芳会 高島平中央総合病院 腎臓内科
  4. 医療法人社団光仁会 フェニックスクリニック 腎臓内科

【緒言】
 標準化蛋白異化率(nPCR)は安定した維持透析患者では蛋白質代謝,蛋白質産生,蛋白摂取量が等しいと仮定されており,多くの栄養評価の1つとして多用されてきた.また,日本透析医学会の慢性透析患者の食事療法基準では血液透析患者の蛋白質摂取量を標準体重(BMI=22)当たり0.9~1.2g/dayと標準体重を使用している.

【目的】
 車いすや寝たきりの入院透析患者は筋肉量,食事量が乏しいことからnPCRの有用性は問題視されると考える.また,IDPN,TPNと食事以外からの蛋白質投与もあることから食事のみでの換算は否定される.今回,食事摂取量,IDPN(TPN),補食から得られた蛋白質摂取量/DWとnPCRが同等であるかを検証する.

【方法】
 入院中の車いす,寝たきりの患者を対象とする.採血日の食事摂取量,IDPN(TPN),補食より蛋白質摂取量/DWを当院の『K-NST』にて算出する.また,採血データから得られた式をSargentらの式,木村の式よりnPCRを算出する.

【考察】
 車いす,寝たきりの患者は入院の原因となった病名(感染症や骨折など)により,入院後の安静臥床状態も異なることから廃用症候群となりやすい.そのため,慢性炎症が生体に加わると,全身の蛋白合成も蛋白分解も亢進するが,分解の方が合成より亢進してしまうことで蛋白質代謝,蛋白質産生が低下し,蛋白質摂取量/DWよりもnPCRが低いと示唆される.

【結語】
 標準化蛋白異化率は入院透析患者に有用な指標となりえない.

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