シンポジウム
中四国臨床工学会リレー企画2016〜2018
どうする隣の医療機器?地域の医療安全は地域で!

地域における医療機器安全管理の現状と課題

青木 郁香、菊地 眞
公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所

 2007年4月の改正医療法施行から10年が経過した今,医療機関における医療機器の安全管理への取り組みは二極化しているのではないだろうか.
 医療機器センター・日本医療機器工業会が実施した第3回治療機器・施設関連機器に関する安全管理実態調査(回収率:34.3%,858/2,500施設)によれば,研修を実施しているのは85.8%(736施設),日常点検を実施しているのは99.5%(854施設),定期点検を実施しているのは99.5%(854施設)であり,多くの病院で対応がなされていた.ただし,それぞれの項目について詳細を問う設問に対しては,病床規模が小さくなるに従い適切に対応される割合が低下していた.今回は,同調査のうち中四国地域に焦点を当てた分析結果を紹介するが,大規模な病院における医療機器安全管理への取り組み充実している一方で,中小規模病院などにおいては苦慮していることがうかがえた.このような差は,病院の機能,取り扱う医療機器の種類や台数と使用の機会,臨床工学技士などの専門家の配置などが影響を及ぼしていることが考えられた.
 他方,平成19年に医療機関における医療機器安全管理の取り組みの詳細を示した厚生労働省通知が,平成30年6月12日付医政地発0612第1号・医政経発0612第1号「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」として改正された.これは,平成29年度厚生労働行政推進調査事業「中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究班」において作成した「医療機関における放射線関連機器等の保守点検指針」をCT装置およびMR装置の保守点検の計画策定の参考とするよう定めたものである.このように,医療機器安全管理に関する施策は,さらに厳格さを求める方向がうかがわれる.
 最後に,自分のこととして考えていただきたい.体調が思わしくない時に,受診するのはどのような医療機関か,地域の診療所あるいは中小規模の病院ではないだろうか.しかし,各種の調査結果によれば,これらの医療機器安全管理は充実しているとは言い難い状況である.自分・自分の家族が暮らす地域の医療機器の安全管理を向上するために,明日からできることはないだろうか.

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