パネルディスカッション 3
High Flow Nasal Cannula Therapy

小児・新生児 大人との違いから考える臨床管理の実際

須賀 里香
埼玉医科大学総合医療センター 臨床工学部

【はじめに】
 ネーザルハイフロー療法(以下HFNC)は酸素療法のひとつである.新生児,乳児が鼻呼吸のため,以前から経鼻的陽圧呼吸補助となるNasal CPAP療法(以下N-CPAP)が一般的におこなわれている現状もあり,鼻装着デバイスに対する受け入れは容易に行われた.しかし,N-CPAPがごく一般的に使用されているからこそ,HFNCとの違いが曖昧になり,どちらを選択しどのように使用するか議論となっている.医師や看護師と異なり,臨床工学技士が関与する場合,小児,成人両方に関与することが多いと考え,成人との違いを理解し新生児,小児におけるHFNCにおける呼吸管理を考える必要がある.また,現在の臨床現場においてHFNCがどのように使用されているかを把握する必要もある.

【方法】
 1)成人と小児,新生児の解剖学的,呼吸生理学的違いを比較し,デバイスから得られる効果を明確にする.2)デバイス自体の特徴を理解し製品ごとの装着による注意点や管理方法の違いを提示する.3)使用に際し,医師,看護師がHFNCに対しどう考え使用しているか,また患児家族の感想に関して聴取した.

【結果】
 1)小児と成人では,人工呼吸器を設定する際の体重あたりの一回換気量に大きな違いはない.しかしながら呼吸生理においても,解剖学から考えても,大人の縮小版と単純に置き換えて考えてはいけないことがわかる.2)HFNCとN-CPAP/DPAPを比較することで,それぞれのデバイスで,形状の違いや,吸気ガス,呼気の流れや方向性の違いがあることがわかる.また,これにより吸気側,呼気側にそれぞれ違う作用が働いていることもわかる.3)医師,看護師からの聴取で,HFNC,N-CPAP/DPAPの情報が交錯していることが伺えた.また,装着に関してはN-CPAP/DPAPに対し,HFNCの方が簡便で管理しやすいとの理由や,患児の受け入れの問題からHFNCを選択する場合もあった.患児の家族からは,N-CPAP/DPAPに比べて児の顔がよく見える,また抱っこする際や体位変換時,ケアの際に手技が楽との意見も聞かれた.

【考察】
 患児が必要とする治療に対して,適切なデバイス選択と管理をおこなうためには,新生児/小児と成人の違い,HFNC,N-CPAP/DPAP,デバイスによる違いと特徴を理解することが重要であると考えられた.

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