パネルディスカッション 3
High Flow Nasal Cannula Therapy

成人患者での臨床の実際

木村政義
兵庫医科大学病院 臨床工学部

【はじめに】
 HFNCTが普及し当院においても集中治療領域だけでなく,一般病棟でも広く使用されるようになった.それに伴い様々な課題が見いだされ,各施設において工夫が行われている.今回,当院におけるHFNCTの実際と,その課題と対策について紹介する.

【適応症例と設定】
 当院の一般病棟における酸素療法は,鼻カニューラを第一選択とし,更に酸素化が必要な場合は開放型マスク(オキシマスク®)を使用している.開放型マスクでも対応できない場合や加湿が必要な場合はHFNCTの導入が検討される.近年では呼吸器内科病棟で特に多く使用されるようになった.集中治療領域では,人工呼吸器離脱早期抜管後のフォローとして従来NPPVが用いられていたが,現在はほとんどHFNCTとなっている.また従来,気管切開患者の酸素療法として,ネブライザ機能付き高流量酸素ディバイスを用いたTピースを行っていたが,現在では気管切開用ダイレクトコネクターを使用したHFNCTを行っている.更に,NPPV不適合症例に対してHFNCTが用いられる.
 流量設定は人工呼吸器離脱抜管後の患者に対しては30L/minの流量が用いられることが多いが,酸素化不良や呼吸困難感が強い患者に対しては50L/minの流量が用いられることが多い.

【施行中管理】
 施行中の管理として最も問題になるのは,カニューラ内に結露水が溜まることによる不快感である.どのメーカーのカニューラでも生じるため,結露水を見つけ次第排除するしかない.また,加湿用蒸留水の使用量が多く,空焚きのリスクが高くなため,1000mlの蒸留水の使用や連結管の使用が必要となる.カニューラ接触部分やバンド接触部分に発赤を生じさせることもあり,注意が必要となる.

【その他の課題】
 50L/min程度の高流量を流すと,加温加湿チャンバーの水容量が多い物は加温効率が悪いため,温度が上がらないことがあり,加温加湿チャンバーは低容量の物を使用しなければならなかった.また,病棟では空気配管がない部屋が多く,ブレンダ型が使用できないことがあった.ベンチュリ―型は動作音が大きい,AIRVO™などの専用機は専用回路が必要となりコストが高いという問題点があり,現在はフロージェネレータ®(アトムメディカル社)と加温加湿器MR850を組み合わせることにより,運用を行っている.

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