パネルディスカッション 3
High Flow Nasal Cannula Therapy

高流量酸素療法(High flow nasal cannula therapy)
~HFNCTの装置と特徴を知る

梶原 吉春
社会医療法人財団 大和会 東大和病院 臨床工学科

【はじめに】
 高流量酸素療法の特徴は,一回換気量以上のガスを流すことで安定した吸入気酸素濃度を送気できるため適正な酸素投与が可能となる.さらに鼻咽頭から肺まで適切な加温加湿を行うことで気道の粘膜繊毛運動機構を維持でき感染予防となる.

【装置特徴】
 HFNCTを行う装置は大きく分けると,HFNCT専用機,加温加湿器と酸素ブレンダを組み合わせた装置,さらにHFNCTを搭載している人工呼吸器に分けられる.主な専用機はAirvo2,Steadyair,プレシジョンフローである.HFNCT機能を搭載している人工呼吸器はEvitaXL/V500/V300,Monnal T60 ,MediOx 60である. 滅菌蒸留水下限警報が付いている装置はSteadyairとプレシジョンフローである.MediOx 60は無呼吸警報がある.

【鼻カニューラ】
 Fisher&Paykel社(以下F&P)とパシフィックメディコ社は1本のガス供給ラインで供給しプロング部で両鼻に送気している.その他のメーカのカニューラは鼻カニューラに似た形状である.日本メディカルネクスト社の新生児用カニューラはシングルプロングであり,シングルプロングは吸引操作や経腸栄養のチューブを挿入するときにカニューラを外さずに実施できる.F&PのOptiflowのガス供給ラインは合成高分子素材を使用しているため供給ラインの結露が発生しにくい.

【使用上の注意点】
 HFNCTを使用する場合は必ずウォーミングアップを実施し,供給ガスが温まるまで装着してはならない.乾燥・低温ガスは鼻腔粘膜への刺激が強く,この状態で装着すると治療を拒否されてしまうからである.NHFCTはNPPVよりも装着が簡便で使用しやすいが,陽圧はほとんどかからないため,重症例には使用できない.HFNCTを開始したらアセスメントを十分に行い,改善が無ければ早急にNPPVやIPPVに変更することも重要である.

【鼻以外のHFT】
 HFNCTは鼻腔からのカニューラによる供給以外にも使用することができる.気管切開カニューラに対してはOptiflow気管切開カニューラがあり,人工鼻では加温加湿が不足する場合に使用している.永久気管切開口の場合にはトラキマスクにHFNCTを,高流量マスクにより酸素投与を行っている場合にはマスクにHFNCTを接続している.

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