パネルディスカッション 2
組織教育

人材育成に係る教育システムについて

井福 武志(1)、竹内 正志(2)
  1. 公益社団法人 日本臨床工学技士会
  2. 社会医療法人 雪の聖母会聖マリア病院 臨床工学室

 臨床工学技士法制定後30年が経過し,その間,医療も進歩の一途を辿ってきたが,我々臨床工学技士も各業務での追従した学術・技術の習得が余儀なくされた.それらに係る教育は非常に重要となるが,習熟度の異なる被教育者に対し,基礎から応用までの幅広い教育と共に,施設毎の特色に合わせた教育を施す必要がある.教育に関する講演や文献等も散見されるが,各施設に適した教育システムを導入するのは容易でない現状も窺える.  従前,新入職員や若手技士の育成用に独自の教育プログラムを導入し実施していたが,施設全体で「品質管理マネジメントシステムISO9001」の取得を機に,新たに「特定業務資格認定制度」を構築し導入した.その際のポイントとして,

①必要なものは「能力」ではなく「力量」である.
②標準化された方法でアウトプットの品質を確保.
③第三者にも明確な記録の保持.
④教育者の力量基準も明確に.

以上のようなアドバイスを受け,大幅な教育システムの再構築を行った.具体的には,各業務を「大分類」として区分し,各々に「特定業務資格」を設定.資格取得条件である「中分類」を満たすべき「小分類」の「レベル別チェックリスト」を作成した.チェック項目総数は2000項目以上あり,各レベル毎に実技や口頭試問が行われる.評価項目をクリアすることで,業務毎の「特定業務資格」が取得できる.また,各業務は難易度別にレベルを4段階に区分し,新入職員や未担当業務はレベル1,上級者の指導のもと業務が行えるものをレベル2,独り立ち可能レベルをレベル3,業務のリーダー的役割である教育者をレベル4とした.更に,過去の能力は現在の力量と異なることがありうるため資格の有効期限を1年と設定し,資格の更新は,毎年度末に勉強会参加,学会発表,論文等の執筆活動などを独自にポイント化し,各自が申告し承認を受ける体制を構築した.
 これらシステム導入による成果としては,業務毎の力量が明確化された人員配置によりアウトプットの質の担保や実習指導等においても標準化された質が確保できた.また,業務全体が把握できるため,各自が「いつまでに」「何の資格を」「どのレベルを」取得するといった目標設定に一役を担うことができた.
 今回,臨床工学技士への教育体制の手法について,過去の問題点や要求事項を踏まえ,新たに構築した「特定業務資格認定制度」の導入による成果や問題点も交え紹介する.

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