パネルディスカッション 2
組織教育

業務拡大のために必要な組織教育

北本憲永
聖隷浜松病院 臨床工学室

 1992年に手術室MEとして発足し,麻酔科部長が室長を兼任し,看護士兼臨床工学技士の係長,新人CE2名の部署から開始した.当初は人工心肺と麻酔導入介助,誘発電位の立会い,医療機器のトラブル対応などが中心であり,教育は『見て覚える』が中心であった.その後,医療機器を管理していた事務部門から業務を移行するため人工呼吸器業務,周産期関連,内視鏡業務の一部など医療機器管理の業務展開を実施した.その際もCEのスタッフ教育としてのマニュアルは作成せず看護師対照のマニュアルのみであった.その後,1998年には手術ME室,透析ME室,眼科ME室が合併し臨床工学室が発足し医療機器の中央管理化.2002年には不整脈を専門とする医師の赴任に伴い,カテーテルアブレーションやペースメーカ植込み及び外来業務を開始した.2004年には眼科手術医師の交代をチャンスととらえ眼科業務.整形外科自己血回収装置,外科用イメージ操作介助,手術導入介助を強化しトラブルの未然防止に努めた.この頃よりスタッフを毎年増員することから教育方法をステップアップ方式のマニュアルを作成し運用を開始したが,実際は中途半端に活用されない時期が続いた.その後2007年には清潔操作介助業務,立会い規制への対応から整形外科インプラントを開始した.この頃から時代の変化から若いスタッフはマニュアルを必要とし,そのマニュアル通りに行動することを本人たちが望んだ.教える側のステップアップマニュアルも充実し必ずステップアップを終えなければ次の業務にいけない方向性とした.この移行期で必要なことは教育を管理する担当者を置き,状況を把握すること.教育を重要課題ととらえ臨床工学室での会議に毎月報告するようシステムを変更した.しかし,業務拡大はチャンスを逃さず実施し,各スタッフが行ったことがない業務を行っていくことも多く医師・看護・メーカーの協力を得ながら情報を取り入れ,常にアップグレードする柔軟さが必要となった.特に職場管理者(病院長,看護部長,事務,臨床工学技士の長)の考え方により各施設の業務範囲は制限され,成長する機会を失うこともある.管理者が発想を変化させスタッフに任せ,そのスタッフの成長を支援することで若手が責任とやりがいをもって業務開拓でき,職場活性に繋がったと考える.

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