パネルディスカッション 2
組織教育
組織教育
アメーバ経営論等を取り入れた臨床工学科透析部門の組織作りと教育
澤田正二
社会福祉法人京都社会事業財団 西陣病院 臨床工学科
最近,こんな言葉をいただくことが増えてきました.
「あなたの職場は良い子ばっかりで良いですね.うちの子なんて文句ばっかり言って,全然言う事聞かない.やる気もないし・・・」
私はニッコリ笑って「良いスタッフに恵まれて幸せです」とお答えします.
でも,最初から文句ばかり言う子も,言う事を聞かない子も,やる気のない子もいないと思います.最初は誰もが,素直で熱意も持っています.その熱意を継続させ成長への道筋をつけるような組織作りと教育が必要で,やる気を出させるのも,成長させるのも管理者の仕事です.
当院では7:1看護体制採用による病棟看護師確保のため看護師の業務を臨床工学技士(以下CE)へ一部移換することとなりました.それが進まなかった透析部門は,院内管理部門からは「やる気がない部署」などの中傷を受け,CE内部でも看護師の業務を「やらされている」感からギスギスした雰囲気となり離職者も続きました.それらを改善するために透析業務は得手ではなかった私が,他部門から介入することとなりました.そこで全員に新しい業務に取り組む意義を説き,体当たりでアメーバ経営論等を応用し組織改革を行いました.
アメーバ経営論とは,企業の人員を小集団(アメーバ)に組織し,一定期間の目標値をアメーバごとに策定して目標達成を目指し,そしてアメーバごとに業績を評価し,最大効果を得る手法です.この手法に当てはめ,治療法や合併症などの分野ごとに1人のリーダーと3~4名のメンバーでのアメーバを作りました.
アメーバ経営論の特徴通り,メンバーの数が少なく成果が数字にすぐに表れるので,当事者意識を引き出しやすく,透析部門のCEは「やらされている」から自ら考え行動する集団へと変化しました.
目標設定に収益事業を含んでいたことから,若手でもコスト意識を高く持つ計数管理能力を備えたリーダーの育成が進みました.
そしてアメーバ間の競争を引き出しやすいことから,皆が前向きになる環境ができていきました.雰囲気がよくなると離職者も減っていきました.
組織作りや教育には様々な手法がありますが,今回は古都京都からの演者らしく,京セラ創業者の稲盛和夫氏が考案されたアメーバ経営論等を応用した組織作りと,その組織作りを取り入れながら,社会人としての心構えと自立心を育てていく当院の教育手法についてお話させていただきたいと思います.
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