パネルディスカッション 1
集中治療を深める
~準備と使用中点検だけではいけない、医師に対してsuggestionを行えるCEになろう

血液浄化の臨床により深く関わるために~持続的血液浄化(CBP)を中心に

佐々木 慎理(1)、小野 淳一(2)、高山 綾(1)(2)
  1. 川崎医科大学附属病院 MEセンター
  2. 川崎医療福祉大学 医療技術学部 臨床工学科

 ICU領域におけるCBP施行目的は,主に腎代替療法(renal indication)と循環動態の安定化(non-renal indication)であるが,後者においては様々な考え方が存在し,施行条件もいまだ統一した見解が得られていない.PMX-DHPやPMMA-CHDF,AN69ST膜などのデバイスや,High-flow,High-Volumeといった血液浄化量など,施設間で独自のプロトコールが用いられているのが現状である.
 当院ではHigh-Flow CHDの臨床効果を報告し,現在もこのプロトコールを用いてICUで多くの患者を救っている.また,回路LifeTimeの延長を目的に行った研究では,血液の淀みを抑制することで回路LifeTimeを延ばせる事がわかり,出血傾向のある患者に対して抗凝固剤を使用せずに安定したCBPを施行しうることに繋がった.Vascular Accessは,挿入部位によって再循環率が異なる事がわかり,現在ではほぼ全例で右内頚静脈を第一選択としている.
 エビデンスやガイドラインに則った治療を展開することも重要であるが,大事なことはその時々で何を目的にして治療を行うかをチームで共有することである.当院ではICUにおけるCBPマネジメントの多くをCEが担っており,日常的にチームへsuggestionを行い,施行条件など多くの事をCEが中心となり決定している.この体制を構築できた背景には,先輩が築いてくれた医師や看護師との確固たる信頼関係がある.上述した研究は日常の疑問から生まれた課題を解決すべく取り組んだ結果であり,チーム内の信頼関係をより強固にする要因となっている.
 最後に,血液浄化療法は我々CEにとって馴染みの深い治療のひとつであり,日頃ICUに携わる機会の少ないCEでも,ひとたび血液浄化が施行されればICUに足を運ぶCEは少なくない.また,呼吸管理が得意な医師に比べ,血液浄化が得意な医師は少なく,CEに寄せられる期待は大きいと考えられる.このため,血液浄化療法は「準備と使用中点検」だけでなく,より深く臨床に関わるための1stステップと位置付けられる.また,ICU専任のCEにとっても,その治療の奥深さや難しさ故に日々試行錯誤を繰り返しているのが現状であり,このワークショップでその疑問を共有し討論することでより深く臨床に関わっていけるきっかけとしたい.

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